セッション情報 合同シンポジウム2「肝胆膵疾患診療の進歩」

タイトル S2-14:

高度進行肝細胞癌に対する放射線併用動注化学療法の有用性

演者 田中 貴大(徳島大学 消化器内科 )
共同演者 谷口 達哉(徳島大学 消化器内科 ), 平尾 章博(徳島大学 消化器内科 ), 宮本 佳彦(徳島大学 消化器内科 ), 田中 宏典(徳島大学 消化器内科 ), 友成 哲(徳島大学 消化器内科 ), 原田 利枝(徳島大学 消化器内科 ), 佐藤 桃子(徳島大学 消化器内科 ), 三宮 勝隆(徳島大学 消化器内科 ), 玉木 克佳(医療法人 燈来会 大久保病院), 生島 仁史(医療法人 燈来会 大久保病院DELIMITER徳島大学 放射線科), 高山 哲治(徳島大学 消化器内科 )
抄録 【緒言】門脈腫瘍栓を有する肝細胞癌に対する動注化学療法の有効性は過去に報告されているが、その効果は必ずしも十分ではない。一方、近年放射線治療技術が進歩し、肝細胞癌に対する放射線療法の有効性が高まりつつある。また、他癌種においては、抗癌剤と放射線の併用により高い抗腫瘍効果が得られることが報告されている。そこで本研究では、肝予備能が保たれている肝細胞癌門脈浸潤(Vp3/Vp4)症例を対象に行った放射線併用動注化学療法の有効性と安全性について報告する。【対象と方法】2007年1月から2012年7月まで当科で放射線併用動注化学療法を行った高度門脈浸潤(Vp3/Vp4) 15例を対象とした。内訳は男性13例、女性2例、平均年齢66歳、背景肝はHCV/HBV/アルコール/その他:5/6/3/1、Child-Pugh A/B/C:12/3/0、Vp3/Vp4:10/5、肝外病変あり:7例、全治療歴あり:9例であった。放射線照射は対向二門により30 - 50Gy、動注化学療法はIFN-α/5-FU 併用動注化学療法(FAIT):8例、CDDPのone shot動注:7例であった。【結果】全体で2-8コース(中央値 3コース)治療を行った。腫瘍栓に対する奏効率は73%(CR:2例、PR:9例、SD:2例、PD:2例)、肝内病変の奏効率は66%(CR:1例、PR:9例、SD:3例、PD:2例)であった。平均生存期間は11.8カ月であった。Grade 3以上の骨髄抑制は2例認めたが、無治療で速やかに軽快した。また、Grade 3以上の肝機能障害、腎機能障害は認めなかった。【結論】高度門脈浸潤症例に対して放射線併用動注化学療法の効果と安全性について検討した。肝予備能が保たれていれば高い治療効果が得られ、比較的安全に治療できることが示唆された。
索引用語 肝細胞癌, 治療