セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 09:

肝原発神経内分泌腫瘍の1例

演者 小川 智也(香川大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)
共同演者 坂本 鉄平(香川大学医学部 消化器・神経内科), 三村 志麻(香川大学医学部 消化器・神経内科), 野村 貴子(香川大学医学部 消化器・神経内科), 谷 丈二(香川大学医学部 消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大学医学部 消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大学医学部 消化器・神経内科), 出口 章広(香川大学医学部 消化器・神経内科), 山本 尚樹(香川大学医学部 消化器外科), 岡野 圭一(香川大学医学部 消化器外科), 鈴木 康之(香川大学医学部 消化器外科), 正木 勉(香川大学医学部 消化器・神経内科)
抄録 今回、肝原発神経内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する。症例は70歳代の男性。2型糖尿病、糖尿病性腎症のため近医で定期的に外来通院されていた。2011年12月の血液検査でHbA1cの上昇あり、スクリーニングで施行した腹部CT検査で肝腫瘤を指摘されたため、精査加療目的で当科 に紹介受診となった。アルコールは機会飲酒程度であった。血液検査ではHbA1c7.1%(JDS),BUN29.6mg/dl,Cre 1.93mg/dlと糖尿病、腎機能障害を認めた。肝胆道系酵素には異常はみられなかった。HBs抗原、HCV抗体はともに陰性であった。腫瘍マーカーではCA19-9 74U/mlと軽度上昇を認めたが、AFP,PIVKA2はともに正常範囲内であった。腹部超音波検査では肝S6に径25mm程の比較的境界明瞭な高エコー腫瘤を認めた。腹部ダイナミックCT検査では動脈相で濃染し、門脈、平衡相でwash outされる腫瘤を認めた。腫瘤の中心部は経時的に漸増濃染する部分も見られた。腹部単純MRI検査ではT1で低信号、T2で淡い高信号を示す腫瘤を認めた。PET検査では肝S6にFDGの淡い集積を認めた以外には他臓器を含めて有意な集積は認めなかった。また上下部内視鏡検査では腫瘍性病変は認めなかった。以上より腫瘍マーカーの値や画像所見から肝細胞癌や胆管細胞癌を疑い、治療は肝後区域切除術を行った。術後の病理組織では、腫瘍細胞は胞巣状構造や索状構造を示しながら増殖しており、一部にrosette様構造が認められた。免疫組織学的にはchromogranin A,synaptophysin,CD56に陽性であったことなどから、肝原発の神経内分泌腫瘍と診断した。肝原発の神経内分泌腫瘍の報告例は非常に少なく、画像所見のみで確定診断をつけることは困難である。一般に比較的大きな腫瘍で発見され、発見時遠隔転移を来たしていることも多いため、予後は極めて不良である。原発巣が小さい場合でも術後早期に遠隔転移を来たす症例も報告されており、本症例においても今後厳重な経過観察が必要である。
索引用語 あああ, あああ