セッション情報 一般演題(初期研修医)

タイトル 22:

動注用微粉末化シスプラチン(動注用アイエーコール)を用いた肝動脈注入化学塞栓療法後に急性尿細管壊死となった肝細胞癌の1例

演者 河野 寿明(香川大学卒後臨床研修センター)
共同演者 谷 丈二(香川大学医学部 消化器神経内科), 坂本 鉄平(香川大学医学部 消化器神経内科), 三村 志麻(香川大学医学部 消化器神経内科), 野村 貴子(香川大学医学部 消化器神経内科), 三好 久昭(香川大学医学部 消化器神経内科), 米山 弘人(香川大学医学部 消化器神経内科), 出口 章広(香川大学医学部 消化器神経内科), 正木 勉(香川大学医学部 消化器神経内科), 樋本 尚志(香川大学医学部 総合診療部)
抄録 当院では、切除不能肝細胞癌(HCC)に対して、肝予備能、腎機能に問題がなければ、アイエーコール・リピオドール懸濁液の肝動注後に、選択的に肝動脈塞栓術を行う。その際、アイエーコール肝動脈注入化学塞栓療法(TACE)の前日~術後3日間に2000~3000ml/日の補液を行い、充分な利尿をはかり、腎不全を予防する。今回、アイエーコールTACEにて急性尿細管壊死をきたした肝細胞癌の1例を経験した。症例は64歳男性で、2010年12月にS5-S8を主座とする浸潤型のHCCの他、S6に50mm大のHCC、両葉に小さな肝内転移が多数認め、当院に紹介受診。肝予備能良好のため、アイエーコール100mgを全肝に動注し、全肝にジェルパート2mmにて塞栓し、その後、 腫瘍マーカーは著減し、腫瘍の縮小及び消失を認め、肝癌取り扱い規約第5版に準じて、RECIST基準にて総合判定し、PRと判断。2011年3月に同様に施行。さらに5月に残存するHCCに対して、肝予備能・腎機能も問題ないことを確認し、アイエーコール100mgにてTACEを施行。術中、術後も尿量を十分に確保でき、術前後の腎機能も変化を認めず、時間尿量80-100mlを術後3日目まで維持していた。術後3日目の採血にてBUN:41.2、Cr:3.28と上昇を認め、FENaは3.1%、尿中NAG29.3、尿中β2MG:2022と上昇を認め、急性尿細管壊死を疑い腎保護目的で塩酸ドパミン・カルペリチドを開始。術後5日目にはBUN:91.4、Cr:9.47と腎機能上昇を認め、急性腎障害として血液透析を計8回施行後、塩酸ドパミン・カルペリチドを継続し、BUN:30-50、Cr;2.7-3.5の慢性腎不全保存期としてフォローしている。シスプラチンによる急性腎不全は一般的に非乏尿性で、その多くは可逆的で、3~4週間以内に腎機能が回復するが、繰り返しシスプラチンが投与された場合や、総投与量が多い場合には不可逆性の腎不全を呈する可能性があると報告がある。アイエーコールTACEは、多施設で行われている肝癌治療であり、今回の経験を踏まえ、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 あああ, あああ