セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

膵内副脾に発生した類上皮嚢胞の1例

演者 後藤田 達洋(岡山済生会総合病院内科)
共同演者 藤井 雅邦(岡山済生会総合病院内科), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院内科), 関 杏奈(岡山済生会総合病院内科), 下村 泰之(岡山済生会総合病院内科), 金藤 光博(岡山済生会総合病院内科), 齋藤 玄哲(岡山済生会総合病院内科), 村上 尚子(岡山済生会総合病院内科), 山本 久美子(岡山済生会総合病院内科), 伊藤 守(岡山済生会総合病院内科), 石山 修平(岡山済生会総合病院内科), 川上 万里(岡山済生会総合病院内科), 藤原 明子(岡山済生会総合病院内科), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院内科), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院内科), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院内科), 塩出 純二(岡山済生会総合病院内科), 糸島 達也(岡山済生会総合病院内科), 仁熊 健文(岡山済生会総合病院外科), 三村 哲重(岡山済生会総合病院外科)
抄録 症例は58歳女性。検診での腹部超音波検査(US)にて膵体尾部腫瘤影を指摘され、精査目的で当院受診となった。受診時の血清CA19-9は43.1U/mlと軽度高値であった。当院での腹部USでは、膵尾部に46×35×34mm大の境界明瞭で内部不均一な腫瘤を認めた。腹部造影CT検査では、膵尾部に被膜を伴う43mm大の単房性嚢胞性腫瘤を認め、被膜の一部は脾臓と同程度に造影された。腹部MRIではT1強調像で低信号、T2強調像では高信号が主体で内部に一部低信号の部位も認められた。内視鏡的逆行性膵管造影検査(ERP)では、主膵管に狭窄、拡張はなく、嚢胞と主膵管との交通も認めず、膵液細胞診では悪性所見を認めなかった。超音波内視鏡検査(EUS)では、膵尾部に単房性嚢胞性病変を認め、嚢胞内に明らかな結節は指摘できなかった。画像所見から、膵内副脾に発生した類上皮嚢胞も疑ったが、鑑別診断として粘液性嚢胞腫瘍(MCN)も否定できず、腹腔鏡下脾臓温存尾側膵切除術を施行した。腫瘍は50mm×40mmで硝子化した線維性被膜を有する嚢胞性病変で、内腔に漿液性物が貯留していたが出血や壊死、石灰化は認めなかった。病理診断は、壁内面には薄い重層上皮が残っており、上皮下には少量の脾臓様組織を断続的に認め、膵内副脾に形成された類上皮嚢胞であった。膵内副脾に発生した類上皮嚢胞はまれな疾患である。経過観察が可能なため、他の膵嚢胞性腫瘍との鑑別が重要である。嚢胞壁の造影パターンに留意することが、有用と考えられた。今回我々は膵内副脾に発生した類上皮嚢胞の一例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 類上皮嚢胞, 膵腫瘍