セッション情報 シンポジウム1「消化癌治療のパラダイムシフト 肝胆膵分野」

タイトル

悪性上部消化管/胆道閉塞に対するdouble stenting

演者 小道  大輔(県立広島病院消化器内科)
共同演者 桑田 幸央(県立広島病院消化器内科), 山田 博康(県立広島病院消化器内科), 隅岡 正昭(県立広島病院内視鏡内科)
抄録 【目的】悪性上部消化管閉塞に対する、内視鏡的胃十二指腸ステント留置術(以下GDS)が保険収載されて、約2年が経過した。悪性上部消化管閉塞をきたす患者では、胆道閉塞も併発していることが多い。さらに、近年の放射線化学療法の進歩に伴い、生存期間が長期化していることも消化管/胆道閉塞症例が増加した背景として挙げられる。悪性上部消化管/胆道閉塞に対するdouble stentingに関して、当院の成績を提示する。【対象】double stentingの適応に関しては、外科、臨床腫瘍科を含めたカンファレンスにて、バイパス術も選択肢に含めた上、決定している。放射線化学療法中の場合、早期の治療復帰を優先し、double stentingを行うケースが多かった。2010年4月~2012年7月の期間で、GDSを10例(膵癌4、胆嚢癌2、胃癌4)に施行した。うち5例(膵癌2、胆嚢癌2、胃癌1)に内視鏡的胆道メタリックステント留置術(以下BS)を行った。【成績】双方のステント留置を10日以内に行った同時閉塞症例が2例、異時閉塞症例が3例であった。同時閉塞症例に関しては、消化管閉塞部の内視鏡通過が可能であれば、BSを先行するようにした。一方で、GDSを2例に先行した。1例は、GDS91日後にBSを施行した。消化管ステント内に側視鏡を挿入する際、側視鏡では進行方向に対する充分な視野が確保できないが、透視を併用し、慎重に挿入することで対処した。もう1例は、胃癌術後化学療法中の同時閉塞症例(R-Y再建)で、胃空腸吻合部から中部胆管に及ぶ広汎な腫瘍浸潤を認めた。まず、胃空腸吻合部閉塞に対し、GDSを施行した。6日後にダブルバルーン内視鏡ガイド下ERCPにて、BSを施行した。消化管ステントの開存は良好で、オーバーチューブの挿入も円滑であった。術後経過良好で、化学療法再開、在宅復帰することができた。GDSは平均28分(17-42分)、BSは平均65.2分(23-113分)で行った。手技成功率100%で、偶発症は特に認めなかった。【結論】悪性上部消化管/胆道閉塞に対するdouble stentingは、低侵襲でQOL改善効果が高いことが示された。とくに放射線化学療法中の症例に関しては、早期の治療復帰も期待される。
索引用語 悪性胆道閉塞, 内視鏡的胃十二指腸ステント留置術