セッション情報 |
シンポジウム1「消化癌治療のパラダイムシフト 肝胆膵分野」
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タイトル |
進行肝細胞癌治療におけるソラフェニブと肝動注/全身化学療法の位置づけ
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演者 |
河岡 友和(広島大学病院 消化器・代謝内科) |
共同演者 |
相方 浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 宮木 大輔(広島大学病院 消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科) |
抄録 |
【背景・目的】本邦で,進行肝細胞癌(肝癌)に対するソラフェニブが承認され,3年以上が経過した. 当科では,これまで,ソラフェニブに先行して,肝動注化学療法(HAIC)やS1をbaseとした全身化学療法(S1 based chemo)を行い,不応例を中心に,ソラフェニブ治療を行ってきた.今回,これらの治療成績を解析し,進行肝癌治療におけるソラフェニブと肝動注/全身化学療法の位置づけについて考察した.【対象・方法】1) 経過中ソラフェニブ治療歴のないHAIC 265例,S1 based chemo76例.IFN/5FU:FP=156:109例,Child A/B/C:180/79/6例.Stage II/III/IVA/IVB:6/47/152/60例.Vp3/4:72/73例.S1/IFN:S1/CDDP=46:30例,Child A/B:65/11例.T因子0/1/2/3/4:20/8/15/15/18例.2) ソラフェニブ106症例中,当科の化学療法不応例に対して投与された40例(HAIC先行26例,S1 chemo先行 14例).【成績】1) 全HAIC症例の奏功率26.7%,MST 7.3カ月.肝外転移非合併例における,奏功率/奏功例MSTは,Child A 31.6%/23.3ヶ月,Child B 22.6%/10.7ヶ月.肝外転移合併例は21.4%/8.8カ月.2) S1 based chemoの奏功率14.4%,MST11.1ヶ月.奏功別MST: CR/PR41.5, SD21.4,PD7.1ヶ月.奏功に寄与する独立因子は,T因子0/1 (OR5.98, p=0.014). 3) HAIC不応例に対するソラフェニブ26症例のHAIC導入後のMSTは20.2ヶ月,ソラフェニブ切り替え後MST8.5ヶ月.HAIC奏功別のMSTはCR/PR/SD/PD:38.3/22.5/20.2/11.0ヶ月.S1 base chemo不応例に対するソラフェニブ14症例のS1based chemo後のMST104.9ヶ月,ソラフェニブ切り替え後MST20.7ヶ月.【結語】肝動注/全身化学療法による奏功例の長期予後は良好であり,ソラフェニブ治療に先行する意義がある.一方,化学療法不応例に対するソラフェニブは,予後を改善する可能性があり,今後,奏功の見極めと切り替え時期に関する検討が必要である. |
索引用語 |
進行肝細胞癌, ソラフェニブ |