セッション情報 | 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄) |
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タイトル | 小腸癌多発肝転移に対して術後化学療法が奏功した一例 |
演者 | 難波 悠介(岡山大学病院消化器内科) |
共同演者 | 川野 誠司(岡山大学病院光学診療部), 那須 淳一郎(岡山大学病院消化器内科), 森本 裕貴(岡山大学病院消化器内科), 關 博之(岡山大学病院消化器内科), 井口 俊博(岡山大学病院消化器内科), 秋田 光洋(岡山大学病院消化器内科), 喜多 雅英(岡山大学病院消化器内科), 平川 智子(岡山大学病院消化器内科), 小林 沙代(岡山大学病院消化器内科), 神崎 洋光(岡山大学病院消化器内科), 堀 圭介(岡山大学病院光学診療部), 筑木 隆雄(岡山大学病院消化器内科), 松原 稔(岡山大学病院消化器内科), 原田 馨太(岡山大学病院光学診療部), 平岡 佐規子(岡山大学病院消化器内科), 河原 祥朗(岡山大学病院光学診療部), 岸本 浩行(岡山大学病院消化管外科), 田中 健大(岡山大学病院病理部), 岡田 裕之(岡山大学病院光学診療部), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科) |
抄録 | 【症例】60歳代男性。【現病歴】2011年4月に健康診断で貧血を指摘され、近医で上下部消化管内視鏡検査、腹部CT検査を施行されたが明らかな原因は指摘されなかった。その後、食後に腹痛が頻回に生じるようになり前医を受診し、腸閉塞の診断で入院となった。腹部CTを施行したところ多発肝腫瘤を認め、さらにPET-CTで肝、空腸、上行結腸にFDGの集積を認めたため、当科紹介入院となった。【入院後経過】経口ダブルバルーン内視鏡を施行したところ空腸に全周性の腫瘍を認め、狭窄をきたしておりスコープは通過不能であった。生検にて高~中分化型管状腺癌と診断された。一方で上行結腸に約25mm大のIsp型ポリープを認め、腺腫内癌と診断された。腹部CTでは肝両葉に最大約20mm大のリング状造影効果を有する低吸収結節が多発して認めた。以上より空腸癌多発肝転移stage4と診断された。狭窄解除目的に当院消化管外科にて小腸部分切除術を施行した後、mFOLFOX6による化学療法を開始した。化学療法開始直前に施行した腹部CTでは当科初診時と比較し肝転移巣の明らかな増悪を認めていたが、4コース後、8コース後のCTでは著明な縮小を認めた。さらに、14コース施行後のPET-CTでは画像上転移巣は認識できなくなっており、完全奏功(CR)と判断した。一方で上行結腸のポリープは化学療法施行後も形態の変化を認めず、内視鏡的切除を施行したところ粘膜内にとどまる腺腫内癌であった。12コース終了後からgrade3の末梢神経傷害を認める様になり、現在オキサリプラチンを除いて化学療法を継続中である。【考察】原発性小腸癌は消化管原発悪性腫瘍の中でも稀な疾患とされており、化学療法においては胃癌や大腸癌に準じて施行されることが多いが、確立されたプロトコールがないのが現状である。特にstage4症例の5年生存率は約6%と予後不良とされている。【結語】今回我々はstage4の小腸癌多発肝転移症例において、小腸部分切除後の化学療法によりCRを得た一例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 小腸癌, 化学療法 |