セッション情報 一般演題

タイトル

A型胃炎に合併し、内視鏡的粘膜下層剥離術にて完全切除できた神経内分泌腫瘍の一例

演者 小原 佳子(倉敷中央病院 消化器内科 )
共同演者 吉田 司(倉敷中央病院 消化器内科 ), 毛利 裕一(倉敷中央病院 消化器内科 ), 松枝 和宏(倉敷中央病院 消化器内科 ), 山本 博(倉敷中央病院 消化器内科 )
抄録 【症例】58歳女性、慢性C型肝炎で当院に通院中。2010年6月にタール便を認め、胃前庭部毛細血管拡張症からの出血が疑われたが自然に軽快した。2012年2月にスクリーニングで上部消化管内視鏡を施行したところ、体中部前壁に中心陥凹を伴う10mm大の山田2型のポリープを認め、生検にて高分化の神経内分泌腫瘍(MIB-1 index 4%でWHO分類のG2)の所見であった。超音波内視鏡では均一な低エコー腫瘤で、固有筋層は保たれていると判断した。血液検査では高ガストリン血症、抗胃壁抗体・抗内因子抗体陽性を認めた。単発であり、サイズ的にも内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が可能と考えられ、5月に治療を施行した。病理結果はG2の神経内分泌腫瘍で、粘膜深層から粘膜下層表層に限局し、脈管侵襲も認めなかった。背景胃粘膜は神経内分泌細胞の過形成を伴うA型胃炎の所見であった。【考察】A型胃炎を背景としたG2の神経内分泌腫瘍に対してESDを行い、完全切除を得た。神経内分泌腫瘍の治療方針についてはいまだ議論の多いところではあるが、今回はESDが有効であったと考えられる。ただ再発や異所発生のリスクもあり、今後も慎重にフォローアップが必要である。興味深い症例と考えられ、文献的考察も交え報告する。   
索引用語 A型胃炎, 神経内分泌腫瘍