セッション情報 一般演題

タイトル

発熱の原因となった肝血管腫に対し肝切除術を行った1例

演者 柾木 慶一(広島大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 相方 浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 福原 崇之(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小林 知樹(広島大学病院 消化器・代謝内科), 苗代 典昭(広島大学病院 消化器・代謝内科), 中原 隆志(広島大学病院 消化器・代謝内科), 宮木 大輔(広島大学病院 消化器・代謝内科), 長沖 祐子(広島大学病院 消化器・代謝内科), 河岡 友和(広島大学病院 消化器・代謝内科), 高木 慎太郎(広島大学病院 消化器・代謝内科), 平松 憲(広島大学病院 消化器・代謝内科), 柘植 雅貴(広島大学病院 消化器・代謝内科), 今村 道雄(広島大学病院 消化器・代謝内科), 兵庫 秀幸(広島大学病院 消化器・代謝内科), 川上 由育(広島大学病院 消化器・代謝内科), 高橋 祥一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 有廣 光司(広島大学病院 病理診断科), 小林 剛(広島大学病院 先進医療開発科学講座外科学), 田代 裕尊(広島大学病院 先進医療開発科学講座外科学), 大段 秀樹(広島大学病院 先進医療開発科学講座外科学), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 【症例】39歳,女性.【現病歴】201X年Y月10日頃より38度台の発熱を認め,Y月21日近医受診,尿路感染症が疑われ抗生剤開始するも症状改善なくY月25日近医再受診し,腹部エコー・CT施行し肝に巨大腫瘤を認め同日当科紹介,精査・加療目的に入院となる.【臨床経過】入院時血液検査:WBC 5040/μl,RBC 320×10*4/μl,Hb 9.2g/dl,PLT 19×10*4/μl,PT活性度69%,FDP 134,4,D-dimer77.6,T-Bil 0.4mg/dl,AST 17IU/l,ALT 18IU/l,LDH 138IU/l,Alb 3.2g/dl,BUN 10.1mg/dl,Cre 0.53mg/dl,CRP 5.97,HBsAg(-),HBsAb(-),HCVAb(-),T-AFP 6.9ng/ml,AFP-L3 0.8mg/ml,PIVKA-II 17mAU/ml,CEA 0.6ng/ml,CA19-9 3U/ml.画像所見:CTでは肝右葉前区域~肝左葉内側区域にかけて単純で低吸収で,動脈相で辺縁が濃染し門脈相から平衡相にかけて徐々に内部へ造影効果の広がりを認める腫瘤を認め巨大肝血管腫と診断した.MRIで同部位は脂肪抑制T2WIで不均一な高信号,dynamic studyでは辺縁から徐々に造影された.また巨大肝血管腫内に脂肪抑制T2WIで辺縁が低信号,内部が不均一な高~低信号となる領域を認め,DWIでは同部位は著明な高信号を呈し血腫の存在が疑われた.入院後発熱の原因として感染症や膠原病,腫瘍性疾患を疑い各種精査を行ったが明らかな原因を特定できなかった.その間も発熱は持続し,血管腫の壊死や血栓形成によるものと考えられるFDPやDダイマーの上昇を認め,MRI再検では血管腫内部の血腫の増大傾向を認めた.以上より巨大血管腫による発熱と考え入院第20病日に右葉切除術およびS2部分切除術を施行した.右葉の切除標本は大きさ20×20×15cmで,総重量は2466g,組織学的には細胞異型はなく,海綿状血管腫と診断した.腫瘤内には出血性梗塞,虚血性硬化巣を認めていた.術直後より解熱し,その他合併症なく経過良好のため術後第12病日退院した.現在術後約6ヶ月であるが症状の再燃なく経過している.【結語】著明な発熱を来たし肝切除を行った巨大肝血管腫の1例を経験したので若干の文献を踏まえて報告する.
索引用語 肝血管腫, 発熱