セッション情報 一般演題

タイトル

末梢血中好酸球増加をきたさず診断に苦慮した好酸球性胃腸炎の一例

演者 島本 葉子(宇部興産)
共同演者 播磨 陽平(宇部興産), 浦山 直樹(宇部興産), 久野 興子(宇部興産), 松崎 祐子(宇部興産), 佐貫 和俊(宇部興産)
抄録 症例は67歳女性。H23年5月嘔吐、下痢、腹痛で近医を受診した。近医での内服加療にて症状は一旦改善したが、8月になり症状が再燃したため精査のため近医より当科紹介となった。来院時身体所見上は上腹部に軽度の圧痛所見を認める以外特記すべき所見は認めなかった。血液検査上WBC 9750/mm3と軽度の炎症所見を認めるのみで、末梢血中の好酸球は入院時0.7%と上昇していなかった。腹部CT上胃幽門部から十二指腸下行脚にかけて狭窄、腸管壁の浮腫状肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査上、十二指腸は上十二指腸角から下行脚にかけて狭窄をきたし、一部粘膜は潰瘍形成を認めていた。同日緊急入院となり入院時診断としては膵臓癌の十二指腸浸潤を疑った。入院後頻回に内視鏡検査で狭窄部、潰瘍部より生検を施行したが、Group1、2の結果であったことより悪性腫瘍は否定した。CTでの画像診断上、好酸球性胃腸炎を疑い病理を再確認したところ、生検組織内に中等度の好酸球の浸潤を認めたことから好酸球性胃腸炎と診断し、オノンの内服を開始した。しかしながら内服10日後の内視鏡所見では改善は認められなかったためPSLを20mg/日で開始し、PSL開始後明らかな副作用を認めなかったため退院となった。その後の内視鏡、CTでの経過観察にて内視鏡上の狭窄、潰瘍所見およびCT上の浮腫状壁肥厚所見は改善傾向を認めたため、PSLは漸減しながら継続投与を行い、H24年6月のCT、8月の内視鏡検査上ほぼ寛解に至った。現在PSLを5mgまで減量し、再発なく経過している。今回末梢血中好酸球増加をきたさず診断に苦慮した好酸球性胃腸炎の一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 好酸球性胃腸炎, 十二指腸狭窄