セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

再生不良性貧血に至った小児重症肝炎の1例

演者 杉浦 香織(倉敷中央病院)
共同演者 守本 洋一(倉敷中央病院), 日野 真太郎(倉敷中央病院), 古林 麻美(倉敷中央病院), 熊谷  健(倉敷中央病院), 三谷 洋介(倉敷中央病院), 辻川 尊之(倉敷中央病院), 萱原 隆久(倉敷中央病院), 詫間 義隆(倉敷中央病院), 高畠 弘行(倉敷中央病院), 松枝 和宏(倉敷中央病院), 山本 博(倉敷中央病院)
抄録 【症例】10歳代前半 男性
【主訴】黄染、全身倦怠感、食思不振
【現病歴】1か月前から全身倦怠感あり、同時期から水様便が5回/日程度続いていた。数日前から食思不振・腹痛・眼球黄染認め、近医にて血液検査で肝逸脱酵素が著明に上昇していたため、当科紹介となり、精査加療目的に入院となった。
【既往歴】特記すべき事項なし。輸血歴なし。肉類生食のエピソードなし。服薬なし。
【家族歴】肝炎含め特記事項なし。
【経過】 腹部CT、USでは肝軽度腫大し、胆管拡張は認められず、血液検査上AST 2332IU/l、 ALT 816IU/lであり、急性肝障害と診断した。血液検査上HAV、HBV、HCV、HEV、CMV、EBVなどのウイルスマーカーはすべて陰性で、ANA、AMA、ASMA、抗LKM-1抗体なども陰性、IgG基準範囲内と自己免疫性肝疾患を示唆する所見も認めなかった。凝固能はPT活性50%前後でありSNMCやVit.K投与するも反応不良であったが、1週間経過した後徐々に改善傾向が見られ、入院後第19病日に生検施行した。病理所見では、全体に壊死、炎症強く、特に中心静脈域にリンパ球優位な著明な炎症細胞浸潤を認めた。肝炎は徐々に鎮静化し経過を見ていたところ、肝炎発症から2か月後、著明な汎血球減少及び皮下血腫、口腔内出血認めた。骨髄生検にて肝炎後再生不良性貧血の重症と診断され、G-CSF、輸血で適宜対応し非血縁者間同種骨髄移植を待ちつつ、CyA+ATG+mPSL投与開始となった。
【考察】肝炎後再生不良性貧血は、急性肝炎発症後の2週間から3ヵ月後に肝逸脱酵素が正常化した頃に、高度な汎血球減少をきたす二次性の再生不良性貧血である。CyAとATGの併用免疫抑制療法が有効であった報告が散見され、急性肝炎軽快後も厳重な血液検査フォロー行い早期発見することが重要と考えられた。
索引用語 急性肝炎, 再生不良性貧血