セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル

消化管出血をきたした小腸GISTに小腸異所性膵を合併した一例

演者 安富 絵里子(津山中央病院消化器・内視鏡センター)
共同演者 山崎 泰史(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 竹本 浩二(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 岡 昌平(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 馬場 雄己(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 濱田 健太(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 赤穂 宗一郎(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 朝戸 俊行(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 河合 大介(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 竹中 龍太(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 平良 明彦(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 柘野 浩史(津山中央病院消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院消化器・内視鏡センター)
抄録 症例は36歳女性。平成24年3月に貧血、黒色便を認め小腸出血疑いで当院紹介受診となった。腹部造影CTで強く造影される約20mm大の腫瘤を空腸に認め同部位からの出血を疑った。カプセル内視鏡でもCTと同部位に約20mm大の軽度発赤を伴う粘膜下腫瘍を認めた。経口的ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)を施行し空腸に約20mm大の中心にdelleを伴う軽度発赤調の粘膜下腫瘍を認め、クッションサイン陰性であり形態的にGISTを疑った。さらにその約20cm肛門側に約15mmのクッションサイン陽性の表面に凹凸のある縦走する粘膜下腫瘍を認めた。空腸粘膜下腫瘍2病変に対して開腹空腸部分切除術を施行した。術中所見ではTreitz靱帯より約10cm肛門側の空腸に約20mm大の腫瘤を認め、さらにその約20cm肛門側の空腸に白色隆起病変を認めた。術後の病理組織診では粘膜筋板から連続する比較的境界明瞭な結節性病変でCD34陽性、c-kit陽性、S100陰性、SMA陰性である腫瘍細胞を認め、GISTと診断した。ki-67 indexは低率でMiettinen分類低リスク相当であった。肛門側の病変は異所性膵組織を認め、異所性膵と診断した。悪性所見は認めなかった。術後に貧血の進行はなく術後12日目に退院となった。当院では過去6年間に小腸腫瘍に対するDBEを14症例で施行している。年齢は33歳から88歳、男性7例、女性7例であった。症例の内訳は濾胞性リンパ腫4例、GIST2例、平滑筋腫2例、びまん性大細胞リンパ腫1例、過誤腫性ポリープ1例、胸腺癌の小腸転移1例、脂肪腫1例、カルチノイド1例、化膿性肉芽腫1例であった。治療は内視鏡治療4例、外科的切除4例、化学療法4例、経過観察2例で良好な成績を収めている。本例のように小腸GISTに小腸異所性膵を合併した症例は検索した範囲では本邦では報告はなく、当院での小腸腫瘍の検討と若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 GIST, 異所性膵