セッション情報 |
シンポジウム1「消化癌治療のパラダイムシフト 肝胆膵分野」
|
タイトル |
進行肝癌の治療のパラダイムシフト―肝動注化学療法から鉄キレート剤治療
|
演者 |
佐伯 一成(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学) |
共同演者 |
山崎 隆弘(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学), 浦田 洋平(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学), 寺井 崇二(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学), 坂井田 功(山口大学大学院医学系研究科消化器病態内科学) |
抄録 |
【目的】進行肝細胞癌(進行肝癌)の予後は不良であり、本邦の治療アルゴリズムではソラフェニブと肝動注化学療法(HAIC)が推奨されている。今回、当科で開発した新規の鉄キレート剤(DFO)治療(iron-metal manipulating therapy; i-MM therapy)が進行肝癌の治療のパラダイムシフトとなり得るかについてHAICの成績から検討した。【方法】1) HAIC:当科でHAICを施行した114例(StageII/III/IVA/IVB=7/36/50/21; Child-Pugh A/B/C=63/51/0)。レジメンはlow-FP (+leucovorin/isovorin±interferon)関連療法である。また、HAIC後の追加治療は、有効(PR)以下の可能症例に施行し、最大治療効果をもって評価した。2) DFO治療:肝動注無効例の進行肝癌10例(Stage II/IVA/IVB=1/2/7; Child-Pugh A/B/C=3/5/2)に対してDFO10-80mg/kgを24時間持続動注、週3回隔日投与し、有用性を検討した。【結果】1)HAIC:奏功率36%、予後ではMST10.2ヵ月 (CR/PR:17.8ヶ月、SD/PD:7.2ヶ月)で、1/3/5/7/10年生存率=44/10/6/3/3%であった。追加治療は69例に施行し、奏効率は33%(CR3,PR20)であり、HAIC初回効果別では、PR/SD/PDでそれぞれ、58/24/7%と追加治療の効果も悪くなった。またHAICおよび追加治療が無効であった65例中16例(25%)しか、ソラフェニブ導入は見込めなかった。2) i-MM therapy:奏功率20%(PR2, SD3, PD5)、1年生存率20%であり、肝機能不良例にも施行可能であった。【結語】HAIC無効例の後治療は現状では無効であり、i-MM therapyは、ソラフェニブと違い、肝機能不良例にも治療可能であることから、進行肝癌治療のパラダイムシフトとなり得ることが示唆された。今後、さらに症例を重ね検証していきたい。 |
索引用語 |
肝癌, i-MM |