セッション情報 | 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄) |
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タイトル | カロリミット®が原因と考えられた薬物性肝障害の一例 |
演者 | 山口 祐貴(島根大学医学部 卒後臨床研修センター) |
共同演者 | 相見 正史(島根大学医学部消化器肝臓内科), 斎藤 宰(島根大学医学部消化器肝臓内科), 飛田 博史(島根大学医学部消化器肝臓内科), 三宅 達也(島根大学医学部消化器肝臓内科), 佐藤 秀一(島根大学医学部消化器肝臓内科), 石原 俊治(島根大学医学部消化器肝臓内科), 木下 芳一(島根大学医学部消化器肝臓内科) |
抄録 | 症例は30歳代、女性。2012年3月末頃より全身倦怠感、食思不振が出現し、4月上旬に職場で黄疸を指摘され近医を受診し当院紹介となった。受診時AST 1175 IU/l、ALT 1393 IU/l、T.Bil 10.2 mg/dl、ALP 513 IU/l、γ-GTP 107 IU/lと著明な肝機能異常を認め即日入院となった。今まで肝機能異常を指摘されたことはなく、各種肝炎ウイルスマーカー陰性、自己抗体陰性、サイトメガロウイルス、EBウイルスは既感染パターンであり、飲酒歴はビール 700 ml/dayだが最近は禁酒していた。腹部超音波検査では、胆嚢虚脱の所見のみで器質的異常は認められなかった。病歴聴取にて2月上旬よりカロリミット®(株式会社ファンケル)を服用していたことが判明し、これによる混合型薬物性肝障害を疑い、入院後より服用を中止した。入院第3病日にAST 1365 IU/l、ALT 1548 IU/l、T.Bil 12.4 mg/dlまで上昇したが以後徐々に改善し、服用中止後約100日で肝機能は正常化した。入院第5病日に肝生検を施行したが、炎症細胞浸潤の目立つ薬物性肝障害に矛盾しない所見であった。肝機能正常後提出したカロリミット®のDLSTは陽性で、DDW-J 2004ワークショップ診断基準のスコアリングでは9点となり、カロリミット®による薬物性肝障害と診断した。カロリミット®は鳩龍緑茶、桑の葉、ギムネマシルベスタ、インゲン豆、キトサンを主成分として含むサプリメントであるが、近年健康食品や漢方薬による薬物性肝障害が増加してきており、注意を要すると考えられるため若干の文献的考察を含め報告する。 |
索引用語 | カロリミット, 薬物性肝障害 |