セッション情報 一般演題

タイトル

シスプラチン+イリノテカン併用療法が有効であった膵神経内分泌癌(NEC)の1例

演者 杉原 誉明(松江市立病院  消化器内科)
共同演者 谷村 隆志(松江市立病院  消化器内科), 村脇 義之(松江市立病院  消化器内科), 三浦 将彦(松江市立病院  消化器内科), 田中 新亮(松江市立病院  消化器内科), 河野 通盛(松江市立病院  消化器内科), 吉村 禎二(松江市立病院  消化器内科), 原田 賢一(鳥取大学医学部付属病院 機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学医学部付属病院 機能病態内科学)
抄録 【症例】40代男性。【現病歴】平成23年5月頃から左上腹部痛があり、増強するため同年7月に近医を受診し、腹部超音波検査で膵腫大を指摘され、当科へ紹介受診。【経過】来院時血液検査で有意な所見は認めなかったが、造影CT検査では膵尾部に約5cmの境界不明瞭な乏血性腫瘤を認め、肝内に3か所の転移巣を合併していた。両臓器からの腫瘍生検にて、小細胞癌に類似した異型の強い腫瘍細胞を認め、免疫染色ではChromograninA(+)、Synaptophysin(+)、CD56(+)、insulin(-)、glucagon(-)、Ki67 indexは約50%であった。肝転移を伴った膵低分化型神経内分泌癌(NEC、小細胞型)と診断された。血清腫瘍マーカーはProGRP 1830pg/ml、NSE 21ng/mlと高値であった。肺小細胞がんに準じ、IP療法(CDDP:60mg/m2,day1 + CPT-11:60mg/m2,day1,8,15 4週毎 4クール)を選択した。3クール終了時には肝転移巣は消失し、膵腫瘤径は30%以上縮小しており、RECIST基準に沿ってPRと判定された。原発巣に対する放射線治療(45Gy/25Fr)を追加した。しかし、本年1月に多発する転移性肝腫瘍の出現を認め、PDと判断してアムルビシン単独療法(AMR:40mg/m2 day1-5, 3週毎)へ変更した。2クール実施するもさらに病勢が悪化したために中止、初診から12か月目に死亡された。【考察】NECは稀な疾患であり、神経内分泌腫瘍(NET)G1/G2に比して予後不良とされる。鑑別の為には組織診断が必須であり、それにより化学療法の選択が可能となる。NECの化学療法に前向き研究は存在せず、肺小細胞癌に準じ加療を行っているのが現状である。今回の症例の経験からは、膵腫瘍における組織診断の重要性が認識され、NECの初期治療にIP療法が有用と考えられたので報告する。
索引用語 膵神経内分泌癌, IP療法