セッション情報 一般演題

タイトル

当院における経皮経食道胃管挿入術(PTEG)の導入経験

演者 佐竹 真明(JA厚生連 周東総合病院 消化器内科)
共同演者 古谷 隆和(JA厚生連 周東総合病院 消化器内科), 小沢 博和(JA厚生連 周東総合病院 消化器内科), 小西 知己(JA厚生連 周東総合病院 消化器内科), 安永 満(JA厚生連 周東総合病院 消化器内科)
抄録 【背景】当院では従来、PEG造設困難症例に対して外科的に胃瘻もしくは腸瘻を造設するか、ポート埋め込みによる高カロリー輸液を行ってきた。しかし平成23年4月の保険適応を受け、平成24年5月に経管栄養法の新しい選択肢として経皮経食道胃管挿入術(Percutaneous Trans-Esophageal Gastro-tubing、以下PTEG)を導入したので報告する。【方法・対象】当院におけるPTEGの適応は経管栄養もしくは腸管減圧を必要とし、胃切除後などでPEG造設が困難な症例である。食道・頸部病変や反回神経麻痺、補正困難な血液凝固能異常を有する症例は禁忌としている。導入準備としてDVD・パンフレットなどを用いた学習、業者による説明会を行った。家族に口頭および書面による説明を行い、同意を得た。具体的にはPTEG造設キット(住友ベークライト社)を用い、透視下および超音波ガイド下に頚部食道の非破裂バルーンを穿刺し、ガイドワイヤーをバルーン内に留置後、肛門側にバルーンを誘導しガイドワイヤーをリリースしたのち、留置胃管を挿入した。平成24年5月より8月まで4例に対してPTEGを施行した。【結果】平均年齢は73歳(65~83歳)、全例男性であった。基礎疾患は脳梗塞が3例、高度認知症による廃用症候群が1例であった。幽門側胃切除3例、胃全摘1例で、全例PTEG施行前に誤嚥性肺炎の既往があった。経腸栄養カテーテルは幽門側胃切除の3例で70cm、胃全摘の1例は45cmを留置した。動静脈・気管・食道・甲状腺の損傷や瘻孔感染などの造設期合併症はなく、自己・事故抜去も現在まで認めていない。全例翌日より水分を、術後2日目より栄養剤の注入を開始した。3例は当院入院継続、1例は長期療養型病院へ転院した。【考察】PTEGはPEGに比べ、内視鏡不要、造設後のスキンケアが容易、自己抜去の際に重篤な合併症の可能性が低い、などメリットも多く、簡便性・低侵襲性の点でもPEGと遜色ない。現在はPEG施行困難例への適応のみであるが、今後経管栄養法の第一選択となる可能性もあると考えられる。そのためには、やや煩雑な造設手技の改良やPTEG自体の認知・普及が期待される。
索引用語 PTEG, 経管栄養法