セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

高度狭窄にて手術を施行した虚血性大腸炎の2症例

演者 平野 哲朗(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科)
共同演者 岡信 秀治(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 吉福 良公(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 井上 貴統(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 中村 有希(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 北村 正輔(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 久賀 祥男(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 守屋 尚(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科), 大屋 敏秀(独立行政法人 労働者健康福祉機構 中国労災病院 内科)
抄録 症例1は74歳、S状結腸癌術後の男性。下行結腸の虚血性大腸炎に対し保存的加療を行い、軽快退院後外来フォローしていた。退院1か月後に施行した大腸内視鏡検査ではほぼ全周性の白苔に覆われた潰瘍を認め、scopeの通過は可能であったが、退院4か月後に施行した大腸内視鏡検査では下行結腸の全周性狭窄を認めた。同部はscopeの通過不能で、注腸造影では狭窄は長径10cmであった。イレウス症状はみられなかったが、狭窄範囲が長く拡張術は困難と判断し、当院外科で左半結腸切除術を施行した。切除標本の病理結果では、全周性で帯状に広がる慢性潰瘍病変を認め、一部で筋層内にまで波及するUL3の潰瘍であり、潰瘍底には炎症性の肉芽組織と不完全な再生上皮を認めた。症例2は77歳女性。下血を主訴に来院、大腸内視鏡にて下行結腸に多発する粘膜下血腫とともに粘膜面の発赤・浮腫を認め虚血性大腸炎と診断した。絶食腸管安静で治療を開始し、すみやかに下血は軽快したが、第14病日に大腸内視鏡検査を施行したところ病変はpin hall状に狭窄をきたしておりscopeの通過も不能で、注腸造影では狭窄は長径5cmであった。CTでは狭窄部位に一致する下行結腸に壁肥厚と周囲への炎症を伴う像を認めた。高度狭窄のため便の通過は困難と判断し、当院外科紹介し結腸部分切除術を施行した。切除標本の病理検査では、全周性のびらんと慢性炎症、表層の一部に再生上皮を認め、虚血性大腸炎の回復期に矛盾しない像で、高度の線維化を伴っていた。虚血性大腸炎と診断し、治療経過中に高度狭窄をきたしたため外科手術を施行した2症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 虚血性大腸炎, 狭窄