セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

胆管炎を契機に発見された胆管腺腫の2例

演者 大谷 一郎(県立広島病院 消化器内科)
共同演者 桑田 幸央(県立広島病院 消化器内科), 小道 大輔(県立広島病院 消化器内科), 東條 加奈(県立広島病院 内視鏡内科), 國原 紗代子(県立広島病院 内視鏡内科), 辰川 裕美子(県立広島病院 消化器内科), 平賀 裕子(県立広島病院 内視鏡内科), 平本 智樹(県立広島病院 内視鏡内科), 渡邉 千之(県立広島病院 消化器内科), 北本 幹也(県立広島病院 消化器内科), 山田 博康(県立広島病院 消化器内科), 隅岡 正昭(県立広島病院 内視鏡内科), 小橋 俊彦(県立広島病院 消化器・乳腺外科), 眞次 康弘(県立広島病院 消化器・乳腺外科), 板本 敏行(県立広島病院 消化器・乳腺外科), 西坂 隆(県立広島病院 臨床研究検査科)
抄録 肝外胆管腫瘍は多くが悪性であり、良性腫瘍の報告は少ない。今回胆管炎を契機に発見された胆管腺腫の2例を経験したので報告する。【症例1】78歳 男性。心窩部痛を主訴に当科を受診。血液検査上WBC 13100/μl、CRP 14.4mg/dl、T-bil 2.2mg/dl、AST 128U/l、ALT 105U/l、ALP 283U/lと炎症反応、肝酵素が上昇しており、US・CTで胆嚢腫大、胆管拡張を認め胆管炎と診断した。ERC上、下部胆管に5mm大の透亮像を認め、IDUSで高エコー腫瘤様に描出された。小結石も散見したため、乳頭切開後にバルーンで結石除去を行った。下部胆管の透亮像は可動性を伴わず胆管癌を疑い、擦過細胞診、生検を施行し、ENBDチューブを留置した。細胞診はClassII、生検は炎症・再生性変化に相当する像であったため、胆管炎改善後経過観察とした。3カ月後の再検査では、ERC・IDUS所見は前回同様であり、再度生検を行った。生検で胆管上皮細胞に一部異型を認めたため、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理診断はtubular adenoma with severe atypiaであった。【症例2】72歳 男性。全身倦怠感を主訴に当院を受診。血液検査上WBC 6800/μl、CRP 5.8mg/dl、T-bil 2.9mg/dl、AST 114U/l、ALT 92U/l、ALP 836U/lと炎症反応、肝胆道系酵素が上昇しており、USにて肝内胆管拡張を認め胆管炎と診断した。CT上、肝門部~中部胆管に35X16mm大の高吸収域を認め、ERCでは同部に45X16mm大の透亮像が充満していた。ENBDチューブを留置し胆汁細胞診を行ったがClassIIであった。胆管炎改善後ERCを再検したところ、透亮像はやや縮小しており結石や胆泥の可能性も考えられたため、バルーンにて除去を試みたが可動性を伴わなかった。生検にてadenomaが疑われ、以前より胆管炎を繰り返していることもあり、肝外胆管切除術を施行した。病理診断はpapillary adenoma with severe atypiaであった。胆管腺腫症例の初発症状は、黄疸、右季肋部痛、発熱など胆管炎様の症状が多く報告されており、今回の症例も胆管炎を契機に発見された。胆管炎症例では、胆管結石のみではなく、胆管腫瘍の可能性も念頭に置く必要があると考えられた。
索引用語 胆管腺腫, 胆管炎