セッション情報 一般演題

タイトル

画像診断により入院時から対処できた腸管出血性大腸菌大腸炎の一例

演者 神野 大輔(済生会広島病院 内科)
共同演者 讃岐 英子(済生会広島病院 内科), 畑 幸作(済生会広島病院 内科), 行武 正伸(済生会広島病院 内科), 児玉 美千世(済生会広島病院 内科), 谷本 達郎(済生会広島病院 内科), 小林 博文(済生会広島病院 内科), 隅井 浩治(済生会広島病院 内科), 角田 幸信(済生会広島病院 内科)
抄録 腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli: EHEC)は感染性腸炎の中でも症状が重篤であることが多く、溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症や二次感染が少なくないことなど注意を要する病原体である。今回我々は画像診断により早期にEHEC大腸炎を想定し加療を行った一例を経験したので報告する。症例は20歳代男性。発症1週間前に焼き肉を食している。20XX年7月上旬より下腹部痛、水溶性下痢が出現。次の日から血清下痢となり、その翌日他院を受診。腹部単純CT検査で右側結腸の著明な壁肥厚を認め、同日当院紹介入院となった。腹部超音波検査では右側結腸の著明な壁肥厚と回盲部リンパ節腫大を認めた。大腸壁厚は17mmで層構造は保たれていた。超音波所見より感染性大腸炎、特にEHEC大腸炎を考え、診断および検体採取目的で引き続き無処置で大腸内視鏡検査を行った。内視鏡上、盲腸から横行結腸途中まで著明な粘膜浮腫、びらん、出血を認め、一部正常粘膜も残っていた。以上よりEHEC大腸炎である可能性が高いことを説明した上で個室管理とし二次感染予防に努めた。入院時意識は清明で血液、尿検査では腎機能障害は認められなかったが、連日意識レベル、腎機能、血小板のチェックを行った。入院翌日の夕方に便培養から腸管出血性大腸菌(O145、ベロ毒素VT2陽性)を検出した。入院後より血便は減少傾向にあり、患者は比較的元気であったため抗生剤は使用せず、絶食、輸液のみで加療を行った。HUSは発症せず、第11病日に軽快退院した。
索引用語 腸管出血性大腸菌, 画像診断