セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

肝内血腫を形成した肝細胞癌破裂の1例

演者 大西 理乃(総合病院岡山市立市民病院 肝疾患センター)
共同演者 狩山 和也(総合病院岡山市立市民病院 肝疾患センター), 大山 淳史(総合病院岡山市立市民病院 肝疾患センター), 湧田 暁子(総合病院岡山市立市民病院 肝疾患センター), 能祖 一裕(総合病院岡山市立市民病院 肝疾患センター), 東 俊宏(総合病院岡山市立市民病院 肝疾患センター), 佐藤 雄紀(総合病院岡山市立市民病院 消化器疾患センター), 西村 守(総合病院岡山市立市民病院 消化器疾患センター), 難波 次郎(総合病院岡山市立市民病院 消化器疾患センター)
抄録 【はじめに】今回我々は肝内血腫を形成した肝細胞癌破裂の1例を経験したので報告する。【症例】80歳、男性。前立腺癌、認知症、高血圧にて近医通院中であった。過去に肝機能異常や肝腫瘤を指摘された事はない。平成24年7月下旬に突如腹痛を訴え当院受診した。腹部dynamic CTにて肝S4に血腫と思われる占拠性病変と、造影剤の血管外漏出像、血性腹水貯留を確認した。著名な貧血の進行を認めショック状態であったため、腹腔内出血に対する止血術として緊急血管造影を施行した。中肝動脈末梢に造影剤の貯留を認め、同部位からの出血と診断し塞栓術を行った。術後の経過は良好であり再出血は認められなかった。術後4病日の画像検査にてS4に径5cm大の血腫を認め、その内側に早期相で濃染され後期相でwash outを認める腫瘤を確認した。AFP、PIVKA-2の上昇あり、肝細胞癌破裂による肝内血腫形成と血腫が腹腔内に穿破したものと考えられた。高齢でかつ認知症もあり、外科的手術は困難と考えられたため、ラジオ派焼灼術を施行。その際腫瘍生検も行い、中分化型肝細胞癌である事を確認した。【考察】肝細胞癌は肝内のどの部位にあっても本来出血しやすい腫瘍と考えられ、腹腔内出血以外にも腫瘍内出血や肝被膜下出血の報告が散見される。しかし腫瘍破裂により肝内に大きな血腫を形成することは稀であり、過去に数例の報告があるに過ぎない。肝表面に位置しない肝細胞癌でも腫瘍破裂を起こす可能性があり、腹痛等の症状を伴う原因不明の肝内血腫や嚢胞性腫瘍を見た時には肝細胞癌破裂による肝内血腫も鑑別にいれる必要があると考えられる。
索引用語 肝細胞癌, 肝内血腫