セッション情報 一般演題

タイトル

下大静脈浸潤に対しステントを留置し閉塞解除後、肝動注化学療法をおこなった進行肝細胞癌の1例

演者 田島 邦彦(岩国市医療センター医師会病院 消化器内科)
共同演者 清時 秀(岩国市医療センター医師会病院 消化器内科), 岡田 宗正(山口大学医学部放射線科)
抄録 【はじめに】肝細胞癌(HCC)による下大静脈への浸潤は、突然死のリスクや閉塞症状による全身状態悪化が危惧され、有効な治療ができず予後不良になることがある。今回我々は、HCCのリンパ節転移による浸潤で下大静脈が完全閉塞し、下大静脈症候群を来した症例に対し、下大静脈内にステントを留置し、血流再開後リザーバーカテーテルを留置、肝動注化学療法をおこなった症例を経験したので報告する。【症例】67歳、男性【主訴】下肢浮腫【現病歴】2012年2月頃より下肢の浮腫が出現、増強するため5月近医受診。糖尿病性腎症の増悪が疑われ当院腎臓内科に紹介入院。入院時のCTにて肝腫瘍と胸部、腹腔内リンパ節の腫大、下大静脈の閉塞と診断され当科転科となる。【経過】入院時造影CTでは肝右葉後区域に10cmの腫瘍を認め、縦隔、腹部傍大動脈および下大静脈を取り囲むようにリンパ節の腫大を認めた。下大静脈は腎レベル以下の浸潤部で血流が途絶していた。腫瘍は早期濃染、後期洗い出しが見られた。HBs抗原陰性、HCV抗体陰性であったが、AFP>10000ng/ml、PIVKA-2 16221mAU/mlであった。以上より、HCCおよびリンパ節転移の下大静脈浸潤による下大静脈症候群と診断した。下肢の浮腫による疼痛や全身状態悪化が見られたため、まず下大静脈の血流再開を目的に右内頸静脈および右大腿静脈アプローチにて、下大静脈閉塞部へ20×80mmステントを留置、その頭側にIVCフィルターを留置した。下大静脈の閉塞は解除され、浮腫は改善した。その後右大腿動脈アプローチにて血流改変後リザーバーカテーテルを留置し、肝動注化学療法(low dose FP+LV)を開始した。効果判定のCTにて、肝内HCCは縮小したものの転移巣は増悪しており、肝動注化学療法併用によるTS-1内服治療を開始した。【結語】転移を伴うHCC症例の集学的治療については治療法の決定に困難なことが多く、今回の症例においてもステント留置による下大静脈の閉塞解除後の治療については意見が別れるところであると思われ報告する。
索引用語 肝細胞癌, 下大静脈浸潤