セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 直腸腺癌切除後1年の経過を経て発生した直腸肛門部悪性黒色腫の一例 |
演者 | 谷岡 ゆかり(昭和病院 消化器内科) |
共同演者 | 沖田 幸祐(下関厚生病院 消化器内科), 原田 克則(下関厚生病院 消化器内科), 平野 厚宜(下関厚生病院 消化器内科), 木村 輝昭(下関厚生病院 消化器内科), 加藤 彰(下関厚生病院 消化器内科), 山下 智省(下関厚生病院 消化器内科), 小野 恭平(下関厚生病院 消化器内科), 坂田 晃一朗(下関厚生病院 消化器外科), 瀬戸口 美保子(下関厚生病院 病理), 沖田 極(下関厚生病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は61歳女性。2010年1月便潜血陽性にて当院外来を受診し、下部消化管内視鏡検査を施行した。歯状線近傍のRb背側に9×8mm大の茶褐色Isp型隆起性病変を認めた。上皮性腫瘍が考えられたが、通常みない茶褐色の隆起性病変であり、診断目的に生検を施行した。病理組織検査にて生検Group4 と管状腺癌が強く疑われたため、3月内視鏡的粘膜切除術(以下EMR:endoscopic mucosal resection)を行った。病理組織検査では、中分化型管状腺癌、pM, ly0, v0, VM0であり、直腸癌と診断された。水平方向断端不明であり、癌細胞の残存が否定できなかったため、4月経肛門的局所切除術を行った。手術標本病理組織像には、腫瘍細胞の残存は確認されなかった。2011年4月、1年後の経過観察の下部消化管内視鏡検査にて、同部位瘢痕部および近傍に類似の隆起性病変を認めた。生検の結果、悪性黒色腫と診断され、腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術および人工肛門造設術を行った。初回EMR標本には、検索した範囲内に明らかな腫瘍化したメラノサイトは確認し得なかったが、たとえ初回EMR時の隆起性病変に悪性黒色腫がわずかに存在したとしても、腺癌と悪性黒色腫は発生病理学的に異なるものであり、衝突癌であったと考えられる。中分化腺癌と悪性黒色腫の同時または異時重複癌は非常に珍しく、Pub Medで1990年から2011年までの期間「rectal adenocarcinoma」と「malignant melanoma」をキーワードとして検索したところ、重複癌を認めたものは、Di Marco Aら、Delikaris Pらを含め3例の報告がみられるのみであった。早期直腸腺癌に対して内視鏡的切除術を行った後、1年後の経過観察の下部消化管内視鏡検査で悪性黒色腫を指摘された希少な症例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 直腸肛門部悪性黒色腫, 直腸腺癌 |