セッション情報 シンポジウム1「消化癌治療のパラダイムシフト 肝胆膵分野」

タイトル

肝細胞癌(HCC)に対するラジオ波焼灼療法の新しいパラダイム

演者 孝田 雅彦(鳥取大学 医学部 機能病態内科学)
共同演者 徳永 志保(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 三好 謙一(鳥取大学 医学部 機能病態内科学), 村脇 義和(鳥取大学 医学部 機能病態内科学)
抄録 【目的】 HCC患者に対しても積極的に抗ウイルス療法が行われるようになり再発率の低下、予後の改善が示され、HCCの局所療法に対してもより高い根治性が求められている。ラジオ波焼灼療法(RFA)は低侵襲治療として広く行われ、これまで我々はRFA治療の根治度をMRIで判定する方法を報告してきた。今回、この判定法による局所再発率を比較し、局所再発予測因子を検討した。また、RFA治療後の異所再発の再発様式をEOBMRIを用いて検討した。 【方法】 Study 1. 対象はRFA後2年以上経過観察した67症例101結節である。フェルカルボトラン投与後RFAを施行し、 1週後にT2* MRIを撮像した。効果判定は腫瘍の全周にablative margin(AM)が認められるものをAM(+)、一部AMが途切れているものをAM zero、腫瘍が焼灼域から突出しているものをAM(-)とした。 Study 2. RFA後異所性再発を認めたHCC55症例82結節をretrospectiveにEOB造影MRI肝細胞相(HBP)を検討し、再発が乏血性かつHBP低信号結節を経て発生したか、発見時より多血性であったかを検討した。【成績】 Study 1. 101結節中AM(+) 47、zero 36、AM(-) 8、判定不能10であった。AM(+)とzeroの累積局所再発率はそれぞれ1年4.4%、13.9、2年7.8、33.4、3年7.6、41.8とAM(+)が有意に低値であった。局所再発関連因子は多変量解析で、近接血管有りとMRIによるAM(+)が有意な独立因子であった。 Study 2. 再発82結節中54結節(65.9%)が乏血性HBP低信号結節を経過していた。24結節(29.2%)は発見時より多血性結節として検出され、14結節は以前のHBPで低信号結節は認めず、10結節は前のHBPがなく評価できなかった。4結節は多血HBP等信号結節であった。以上より少なくとも65.9%は多中心性発癌による再発と考えられた。 【結論】 RFAにおいて局所の根治性を高めるためにAMを十分とることが必要であるが、血管に近接する結節では困難な場合がある。RFA後の異所再発は多中心性発癌が66%を占め、再発に対する積極的な治療と背景肝病変に対する抗ウイルス療法が重要である。
索引用語 HCC, MRI