セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル

非定型抗酸菌症に合併した大腸扁平上皮癌の1例

演者 野々下 崇(福山医療センター 内科)
共同演者 豊川 達也(福山医療センター 内科), 表 静馬(福山医療センター 内科), 岡本 明子(福山医療センター 内科), 宮阪 梨華(福山医療センター 内科), 渡邊 一雄(福山医療センター 内科), 藤田 勲生(福山医療センター 内科), 寺尾 正子(福山医療センター 内科), 村上 敬子(福山医療センター 内科), 友田 純(福山医療センター 内科)
抄録 大腸悪性腫瘍は組織学的には90%以上が腺癌であり、扁平上皮癌および腺扁平上皮癌は非常に稀である。その発生頻度は全大腸悪性腫瘍の0.025~0.05% であると報告されており、遠隔転移を来した状態で発見される事も多く、予後不良である。また、肺抗酸菌感染症は肺癌発症の危険を高めると報告する文献もあるが、大腸癌発症について言及する報告は少なく、本症例は極めて稀であると考えられる。今回我々は非定型抗酸菌症に合併した大腸扁平上皮癌に対して結腸右半切除術、術後補助化学療法を施行し、良好な1例を経験したので報告する。症例は59歳女性。主訴は右下腹部痛。既往に非定型抗酸菌症があり、内服加療中であった。20XX年9月より右下腹部痛認めており、翌10月上旬近医受診。同院施行の大腸内視鏡検査で肝弯曲付近に高度の狭窄を伴う全周性の腫瘍を認め、生検では低分化腺癌と診断された。精査加療目的に当院紹介となった。内科で施行した大腸内視鏡検査では肝弯曲より5cm口側に全周性の病変を認め、境界明瞭で潰瘍を伴い、表面は発赤調で一部に白苔・粘液の付着を認め、2型進行癌と診断した。同部は高度に狭窄しておりスコープや造影剤の通過が不可能であった。腹部造影CTでは造影効果を伴う腫瘤整病変として描出されており、周囲のリンパ節腫大を伴っていた。術前診断は上行結腸癌2型 3cm SE N2 H0 P0 M0 stageIIIbとなり当院外科にて結腸右半切除術及びリンパ節郭清術を施行した。腫瘍は上行結腸の肛門側3分の1を占めており、一部後腹膜と癒着していたが他臓器浸潤や腹膜播種を認めなかった。組織診断は中分化扁平上皮癌ss N1(+) P0 H0 M(-)stageIIIaであった。経過良好で術後14日目に退院した。術後補助化学療法としてUZEL/UFTを計5クール施行し、術後10ヶ月後現在、再発等認めず経過良好である。また、本症例では術前の胸部CTにおいて非定型抗酸菌症による肺の結節性病変の増悪を認めていたが、癌の肺転移の可能性も否定しきれないため現在も経過観察中である。
索引用語 大腸扁平上皮癌, 非定型抗酸菌症