セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル

肝細胞癌腫瘍内出血と診断し治療し得た2例

演者 石原 裕基(岡山済生会総合病院)
共同演者 關 杏奈(岡山済生会総合病院), 川上 万里(岡山済生会総合病院), 藤岡 真一(岡山済生会総合病院), 岡本 雄貴(岡山済生会総合病院), 河原 聡一郎(岡山済生会総合病院), 足立 卓哉(岡山済生会総合病院), 後藤田 達洋(岡山済生会総合病院), 下村 泰之(岡山済生会総合病院), 金藤 光博(岡山済生会総合病院), 斎藤 玄哲(岡山済生会総合病院), 山本 久美子(岡山済生会総合病院), 藤井 政邦(岡山済生会総合病院), 伊藤 守(岡山済生会総合病院), 石山 修平(岡山済生会総合病院), 藤原 明子(岡山済生会総合病院), 吉岡 正雄(岡山済生会総合病院), 大澤 俊哉(岡山済生会総合病院), 塩出 純二(岡山済生会総合病院), 糸島 達也(岡山済生会総合病院), 川中 美和(川崎医科大学附属川崎病院 内科)
抄録 【はじめに】従来,肝細胞癌腫瘍内出血は腹腔内出血と対照的に無症状な事が多く,診断することが困難であり報告数も少ない.今回我々は,症状を契機に診断し治療し得た肝細胞癌腫瘍内出血の2例を経験したので報告する.
【症例1】70歳代男性.もともと肝細胞癌を指摘されており加療予定であった.20XX年6月,右季肋部痛が出現した.近医を受診し,腹部CTで肝細胞癌腫瘍内出血を疑われたため当院へ紹介となった.腹部造影CTを施行し,肝S6/7領域の63mm×61mm大肝細胞癌腫瘍内出血と診断し入院となった.待機的に肝動脈化学塞栓術を施行し,翌月,腹腔鏡下後区域切除術を施行した.
【症例2】80歳代男性.20XX年8月,全身倦怠感のため近医を受診した.血液検査にて肝酵素上昇を認めた.また,腹部超音波検査施行にて肝右葉に腫瘤を指摘されたため当院へ紹介となった.腹部造影CTを施行し,肝S4/8領域に90mm×85mm大の肝細胞癌腫瘍内出血と診断し入院となった.待機的に肝動脈化学塞栓術を施行した.
【考察】2004年8月より2012年8月までに当院にて腫瘍内出血として診断された15例について検討した.対象症例の平均年齢は69.9歳(42-88)で男性10例,女性5例.原因肝疾患はB型肝炎が6例,C型肝炎が6例,非B非C肝炎が3例.腫瘍マーカーの中央値はAFPが1229(1.9-34730),PIVKA-2が1856(21-22970).腫瘍長径中央値は58.5mm(15-98).有症状例は4例(26.7%),高血圧合併症例が10例(66.7%),抗凝固薬又は抗血小板薬服用者が3例(20.0%).
【結語】今回我々は自覚症状を契機に肝細胞癌腫瘍内出血と診断し治療し得た稀な2例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 肝細胞癌, 腫瘍内出血