セッション情報 一般演題

タイトル

左上顎歯肉転移を来した肝細胞癌の1例

演者 井川 敦(広島大学病院 消化器・代謝内科)
共同演者 柾木 慶一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 福原 崇之(広島大学病院 消化器・代謝内科), 小林 知樹(広島大学病院 消化器・代謝内科), 苗代 典昭(広島大学病院 消化器・代謝内科), 中原 隆志(広島大学病院 消化器・代謝内科), 宮木 大輔(広島大学病院 消化器・代謝内科), 長沖 祐子(広島大学病院 消化器・代謝内科), 河岡 友和(広島大学病院 消化器・代謝内科), 高木 慎太郎(広島大学病院 消化器・代謝内科), 平松  憲(広島大学病院 消化器・代謝内科), 柘植 雅貴(広島大学病院 消化器・代謝内科), 今村 道雄(広島大学病院 消化器・代謝内科), 兵庫 秀幸(広島大学病院 消化器・代謝内科), 川上 由育(広島大学病院 消化器・代謝内科), 相方 浩(広島大学病院 消化器・代謝内科), 高橋 祥一(広島大学病院 消化器・代謝内科), 藤原  恵(広島赤十字・原爆病院 病理診断科), 茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
抄録 症例は60歳代、男性。主訴は吐下血。現病歴は2000年よりC型慢性肝炎を指摘された。2005年3月にS8の肝細胞癌(以下HCC)破裂に対して近医にてTranscatheter arterial embolization後に当院外科にて肝部分切除施行(病理組織結果;中分化肝細胞癌,新犬山分類A2F4)した。その後当科にて肝庇護療法施行、2006年7月-2008年3月にかけてPEG-IFN+RBV施行され、SVRとなった。2007年6月に多発HCC出現し、その後Transcatheter arterial chemoembolization反復(計8回)とHCCに対する追加放射線治療(39Gy)施行した。2010年4月のCTにて両側肺野に多発肺転移を認めたため、6月よりソラフェニブ開始となったが、8月のCTでは肺転移増大傾向であった。その後もソラフェニブ継続で経過観察していたが、2011年11月からGrade 3の下痢と血便出現し、ソラフェニブ中止となった。2012年1月中旬に吐下血出現し、当科緊急入院となった。緊急上部消化管内視鏡検査では上門歯列40cmに白色栓を認め、同部位が出血源と判断し、内視鏡的食道静脈瘤結紮術を施行した。しかし、その後も口腔内出血継続し、左上顎歯肉出血を認めた。圧迫止血にて一時的に止血されるも出血を繰り返した。そのため、歯肉生検施行し、HCCの歯肉転移と診断した。放射線治療なども考慮したが、2月上旬のCTでは新たに脳、多発骨転移が出現し、緩和ケアの方針となった。その後も歯肉出血を繰り返し、徐々に食事摂取も困難となり、全身状態悪化し、3月上旬に永眠した。口腔領域への他臓器からの転移性腫瘍は口腔悪性腫瘍の1-2%程度である。またHCCからの転移の報告例は少ない。医学中央雑誌(1983-2011年)で、HCC、歯肉、転移をキーワードに検索したところ、会議録を除くと15例の報告が検索されるのみであり、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝癌, 歯肉