セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル

造影超音波が術前診断に有用であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例

演者 足立 優也(島根県立中央病院 消化器科)
共同演者 園山 隆之(島根県立中央病院 消化器科), 中瀬 真美(島根県立中央病院 消化器科), 上野 さや香(島根県立中央病院 消化器科), 福田 聡司(島根県立中央病院 消化器科), 泉 大輔(島根県立中央病院 消化器科), 三上 博信(島根県立中央病院 消化器科), 沖本 英子(島根県立中央病院 消化器科), 矢崎 友隆(島根県立中央病院 消化器科), 伊藤 聡子(島根県立中央病院 消化器科), 宮岡 洋一(島根県立中央病院 内視鏡科), 藤代 浩史(島根県立中央病院 内視鏡科), 高下 成明(島根県立中央病院 消化器科), 今岡 友紀(島根県立中央病院 消化器科)
抄録 症例は61歳女性.発熱と腹痛で当院紹介受診.初診時体温37.7度,右側腹部に軽度の圧痛を有する手拳大の腫瘤を触知した.採血ではWBC 16700/μl,CRP 10.9mg/dlと炎症反応高値を認めた.腹部超音波検査では胆嚢壁は最大24mm程度に浮腫性に肥厚し,狭小化した胆嚢内部には複数胆嚢結石を有していた.肝臓や他臓器との境界は不明瞭であった.腹部造影CTでは,著明に肥厚した胆嚢壁内に低吸収域を示す領域が目立ち,軟部濃度を呈する部分も認めた.また胆嚢床に沿って,強い造影効果を認めた.MRIでは胆嚢壁はT1WIで中等度の信号強度,T2WIでは中等度の不均一な信号強度を呈していた.画像診断からは胆嚢壁内に膿瘍を伴った胆嚢炎や,鑑別診断として胆嚢癌が考えられた.腹部超音波を再検し,ソナゾイドで造影を行うと,胆嚢壁が均一に造影され,肝や他臓器との境界も明瞭であった.また後期相においても造影効果は強く持続していた.造影超音波の結果から胆嚢癌は否定的と考え,胆嚢炎の術前診断で胆嚢摘出術を行った.病理結果は形質細胞やリンパ球を主体とした全層性の炎症細胞浸潤,筋層の肥厚や漿膜下層の線維化を認め,泡沫状組織球の集簇をみるxanthogranulomatous reactionを有する黄色肉芽腫性胆嚢炎の所見であった.胆嚢壁肥厚を呈する病変において,胆嚢癌との鑑別はしばしば困難である.癌・非癌の鑑別に関して,第二世代超音波造影剤による造影超音波の有用性が報告されており,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 造影超音波, 黄色肉芽腫性胆嚢炎