セッション情報 | 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄) |
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タイトル | Focal Nodular Hyperplasia様病変(FNH-like lesion)と考えられた巨大肝腫瘤の一例 |
演者 | 松田 真幸(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学) |
共同演者 | 高木 章乃夫(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 安中 哲也(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 大西 秀樹(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 中村 進一郎(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 萩原 宏明(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 桑木 健志(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 竹井 大介(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 竹内 康人(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 三宅 康広(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 白羽 英則(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 能祖 一裕(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学), 近藤 福雄(帝京大学医学部附属病院 病理部 医学部 病理学講座), 山本 和秀(岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学) |
抄録 | 【症例】27歳,女性【服薬歴】1年前1ヶ月ピル内服【現病歴及び経過】2011年末より全身掻痒感を自覚.2012年6月,発熱あり近医受診,感冒処方で症状改善しないため採血施行.AST 210IU/L,ALT 229IU/L,CRP 4.97mg/dLと異常値を認め当院紹介.血液検査の結果,各種感染症は否定的,腫瘍マーカー,自己免疫マーカーも正常であった.CTで肝右葉に動脈相で早期濃染を伴わず,平衡相で周囲より低濃度の巨大な多発結節を認め,非結節部は萎縮傾向,側副血行路も認めた.超音波検査では内部均一なiso-hyperechoic SOLとして検出.脈管はSOLの間を縫うように通り,圧排されていた.造影超音波で腫瘍内部は早期相で微細な脈管が造影され,Kupffer相にかけて非腫瘍部とisoになった. MRIではT1強調で高信号,T2強調で低信号, EOB肝細胞相では周囲よりも濃染した.血管造影では肝動脈は全体に狭細化し増生していた.続いて腹腔鏡検査を施行.肝の色調は白褐色,左葉は萎縮.右葉は大きな単位の凸凹不整を認めた.腹腔鏡下超音波では肝表面直下に太い門脈枝を認めた.ICG染色では肝表面は染色されなかったが,深部肝生検組織は染色良好な部分もあり,肝表面近くの肝実質が脱落していると考えられた.肝生検像では広汎な肝細胞の脱落を示す部分と肝細胞の残存する部分が併存していた。肝細胞癌や腺腫などを疑う所見は認めなかった.以上より、異常血管増生を伴う良性結節性病変でFocal Nodular Hyperplasia様病変(FNH-like lesion)と考えられた.経過中胆道感染を疑う症候あり,クラリスロマイシンを継続中.【考察】肝内血流異常に伴う結節性病変としてFocal Nodular Hyperplasia様病変(FNH-like lesion)は捉えられている.本症例のように巨大で門脈圧亢進症状,胆道圧迫による症状も合併することは稀で,今後の経過についても留意が必要である. |
索引用語 | 肝多発結節, 肝機能障害 |