セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 非典型的画像所見を呈した膵神経内分泌腫瘍の1例 |
演者 | 田原 正浩(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科) |
共同演者 | 山口 厚(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 山下 賢(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 保田 和毅(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 水本 健(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 檜山 雄一(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 木村 治紀(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 山口 敏紀(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 桑井 寿雄(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 河野 博孝(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科), 斉藤 彰久(呉医療センター 中国がんセンター 病理部), 倉岡 和矢(呉医療センター 中国がんセンター 病理部), 谷山 清己(呉医療センター 中国がんセンター 臨床研究部), 高野 弘嗣(呉医療センター 中国がんセンター 消化器科) |
抄録 | 【はじめに】膵神経内分泌腫瘍(pNET)は、膵腫瘍全体の約2%と比較的まれな疾患である。典型例の画像検査では、その膨張性発育の性格を反映し、類円型で境界明瞭な多血性腫瘤として描出される。しかし、典型例以外の、多彩な画像所見を呈する症例も多く存在し、その際には診断に苦慮する場合がある。今回我々は、非典型的な画像所見を呈し診断治療に苦慮した症例を経験したので報告する。【症例】79歳、女性。2011年8月より背部痛、便秘が出現し近医受診。腹部エコーにて膵腫瘍が疑われ、同年11月当科に紹介受診となった。既往歴として、脾動脈瘤に対し膵尾部・脾臓摘出が施行されていた。血液検査では、各種腫瘍マーカー、IgG4は正常値であった。CTでは、膵頭部の一部を除き膵全体が乏血性の腫瘤にて置換され、かつ正常膵以上に増大していた。脾静脈、門脈本幹、門脈左枝に広範に腫瘍塞栓を生じ、cavernous transformationの形成が認められた。肝転移や腹膜播種は認めなかった。腹部エコー,EUSにても均一な低エコーを示した。ERPでは、頭部-体部にかけて膵管の狭小化を認めた。膵液細胞診は陰性であった。典型的な画像所見でなく診断は困難であったが、通常型膵癌よりはその他が疑われた。門脈への広範な進展を認めており手術不能と考えた。組織学的検討のためEUS-FNAを試みたが、腫瘍内に側副血行と思われる血管が多数走行しており手技を断念した。再度ERP細胞診を施行し、pNETを疑う小型円型の腫瘍細胞を認め、pNET門脈浸潤と診断した。オクトレオチド、エベロリムス、また肺小細胞癌に準じた治療が考慮されたが、組織学的確定や悪性度の評価ができておらず、治療法の選択が困難であった。浸襲の強い治療は望まれないことから、2012年1月よりソマトスタチンアナログにて治療を開始した。その後も腫瘍は増大をつずけ、発症後5カ月にて永眠された。低栄養と門脈、腎静脈腫瘍栓による肝腎機能不全が死因と考えられた。病理解剖検体にてpNETと確定診断され、Ki67 47%にてG3であった。pNETの画像、進展型式、治療についての文献的考察を踏まえて報告する。 |
索引用語 | 門脈腫瘍栓, 膵神経内分泌腫瘍 |