セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

血管炎様の多彩な全身症状を呈した好酸球性胆管炎の一例

演者 冨永 明子(JA広島総合病院 消化器内科)
共同演者 野中 裕広(JA広島総合病院 消化器内科), 宮森 純子(JA広島総合病院 消化器内科), 瀧川 英彦(JA広島総合病院 消化器内科), 古土井 明(JA広島総合病院 消化器内科), 藤本 佳史(JA広島総合病院 消化器内科), 小松 弘尚(JA広島総合病院 消化器内科), 徳毛 宏則(JA広島総合病院 消化器内科), 石田 邦夫(JA広島総合病院 消化器内科)
抄録 症例は76歳男性で既往には肺気腫、副鼻腔炎があった。発熱、心窩部不快感を主訴に当院を受診した。血液検査にてWBC22000/μl(Eos50%)と好酸球優位の白血球増多、肝胆道系酵素の上昇を認め、IgG(2193mg/dl)、IgE(2654IU/ml)、IgG4(431mg/dl)と高値、抗核抗体(320倍)と陽性であった。HBs抗原、HCV抗体、抗ミトコンドリア抗体は陰性であった。腹部超音波検査、腹部CTでは肝脾腫、胆嚢壁の浮腫性肥厚、胆嚢結石を認めた。MRCP、ERCPでは胆管、膵管の明らかな壁不整や狭窄は認めず、胆汁、胆管擦過細胞診では悪性所見は認めなかった。またP-ANCA(120倍)と陽性であり、気管支喘息様発作、皮疹が出現したことからアレルギー性肉芽腫性血管炎が疑われたが、皮膚生検にて明らかな血管炎の所見は認めず確定診断には至らなかった。これらのことより好酸球性胆嚢炎、自己免疫性肝炎、IgG4関連疾患を鑑別にあげ、肝生検を行った。その結果、IgG4陽性細胞の浸潤は認めず、胆管周囲に著明な好酸球浸潤を認めた。以上より好酸球性胆管炎と診断、ステロイド投与を開始したところ臨床症状および血液データは速やかに改善した。治療開始後3ヶ月現在、維持療法にて再燃なく経過している。好酸球性胆管炎は複雑な病態を呈することが多く、興味深い症例と考えられたので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 好酸球性胆管炎, IgG4関連疾患