セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

先天性膵体尾部欠損症の一例‐その概念についての検討‐

演者 板倉 由幸(松江赤十字病院 消化器内科)
共同演者 山本 悦孝(松江赤十字病院 消化器内科), 山下 詔嗣(松江赤十字病院 消化器内科), 原田 恵理奈(松江赤十字病院 消化器内科), 花岡 拓哉(松江赤十字病院 消化器内科), 實藤 宏美(松江赤十字病院 消化器内科), 藤澤 智雄(松江赤十字病院 消化器内科), 千貫 大介(松江赤十字病院 消化器内科), 串山 義則(松江赤十字病院 消化器内科), 内田 靖(松江赤十字病院 消化器内科), 香川 幸司(松江赤十字病院 消化器内科)
抄録 【患者】70歳代、女性【主訴】腹痛、発熱【現病歴】2011年6月上旬、近医より腹痛を主訴に当科紹介となり、急性胆管炎と診断され入院加療となった。ERCP施行するも結石は認めず、傍乳頭憩室の存在によりLemmel症候群と診断、また入院後のCTで膵体尾部欠損を指摘された。EST施行し第11病日に退院した。しかし同年7月中旬に腹痛再燃し、再入院となった。【入院時現症】軽度黄疸あり、上腹部に圧痛を認めた。腹膜刺激症状はなし。【入院時検査所見】肝胆道系酵素の上昇、CRPの上昇を認めた。アミラーゼは軽度上昇していたが、その他の膵酵素および腫瘍マーカーの異常は認めなかった。血糖は軽度高値であったが、HbA1cは正常値であった。【画像所見】膵ダイナミックCTで膵頭部のみ実質を認めた。MRCPで主膵管は先細りする短小膵管であり、副膵管は認めなかった。また、主膵管の分枝膵管も乳頭側のみであった。ERCP時、副乳頭は確認できなかった。EST・ERBDを施行し、抗生剤投与で軽快し退院となった。その後再燃なく経過は順調である。【考察】本症例では、膵実質は膵頭部のみで、副膵管と副乳頭を認めず、背側原基が先天的に欠如している先天性膵体尾部欠損症と診断される。先天性膵体尾部欠損症として報告されている症例の中に副膵管を有するものもあり、今後その概念や用語の使用には統一した見解が必要と考え、今回過去の報告症例の副膵管の有無に注目し、(先天性)膵体尾部欠損症の定義(私案)について提起する。
索引用語 先天性膵体尾部欠損症, 副膵管