セッション情報 一般演題

タイトル

内視鏡的粘膜下層剥離術後に門脈ガス血症を合併した胃腺腫の1例

演者 森 淳史(津山中央病院 消化器・内視鏡センター)
共同演者 竹中 龍太(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 岡 昌平(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 野島 一郎(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 岡崎 倫子(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 濱田 健太(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 馬場 雄己(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 赤穂 宗一郎(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 山崎 泰史(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 朝戸 俊行(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 河合 大介(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 高山 祐基(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 竹本 浩二(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 平良 明彦(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 柘野 浩史(津山中央病院 消化器・内視鏡センター), 藤木 茂篤(津山中央病院 消化器・内視鏡センター)
抄録 【症例】77歳、男性【既往歴】高血圧、狭心症、前立腺肥大【現病歴】貧血精査目的に施行した上部消化管内視鏡にて胃角部大彎に15mm大の扁平な隆起性病変を認め、生検にてgroup 4と診断した。粘膜内病変と判断し、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した。局注剤にはグリセオールを用い、CO2送気下にITナイフ2にて一括切除した。切除時間は45分で、穿孔等の合併症は認めなかった。ESD翌日の14時頃、トイレに行った際に気分不良、嘔気、上腹部痛が出現し、血圧低下を認めた。遅発性穿孔を疑い、胸腹部X線を施行したが、遊離ガス像は認めなかった。心電図では胸部誘導のT波が陰転化し、虚血は否定できない所見であったが、CKの上昇がみられないため経過観察となった。腹部単純CTにて遊離ガス像はないものの肝左葉門脈、門脈本幹内にガス像を認めた。腹部造影CTでは腸管に造影不良域はみられず腸管虚血を疑う所見はなかった。何らかの理由によりESD後潰瘍部から空気が門脈内に流入したものと推察したが、夕方には腹痛も消失し、全身状態も安定していたためICU入室のうえで保存的加療を行った。その後も症状なく経過、翌日の腹部CTでは門脈ガス像も消失していた。経過良好で、ESD後11日で退院となった。摘出標本の病理診断は胃腺腫であった。【考察】門脈ガス血症は、比較的稀な病態とされるが、画像診断の進歩により早期に診断される症例が増加している。腹部症状が軽度な症例では、必ずしも門脈ガス血症の有無が重症度と相関せず、保存的治療での良好な成績が報告されている。本症ではESD中はCO2送気で処置を行っており、ESD後に潰瘍から空気が門脈内に流入したものと考えられた。胃腫瘍に対するESDで門脈ガス血症を合併した症例の報告は少なく、貴重な症例と考え文献的考察を加えて報告する。
索引用語 門脈ガス血症, ESD