セッション情報 |
シンポジウム1「消化癌治療のパラダイムシフト 肝胆膵分野」
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タイトル |
ソラフェニブを中止した肝細胞癌症例の服用期間に寄与する因子の検討
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演者 |
飛田 博史(島根大学 医学部 肝臓内科) |
共同演者 |
佐藤 秀一(島根大学 医学部 光学医療診療部), 木下 芳一(島根大学 医学部 内科学講座第二), 比良 英司(島根大学 医学部 肝胆膵外科), 田島 義証(島根大学 医学部 肝胆膵外科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌に対するソラフェニブによる治療は、その服用期間を延ばすことがlong SDに寄与すると考えられるが、比較的早期に中止に至ることがあるので、治療開始前に早期中止を予測する因子を検討することは重要である。我々は、ソラフェニブの服用を中止した症例について、中止までの期間に寄与する因子について検討した。【方法】平成21年6月から平成24年3月までの期間に当院で治療を導入した肝細胞癌患者47症例(男性34症例)の中で、服用を中止した43症例(男性30症例)、平均年齢72.0歳(52-86歳)を対象とした。43症例の服用期間と服用前の因子(Alb、PT%、T-Bil、PLT、NH3、eGFR、AST、ALT、体重、年齢)との相関、服用期間と服用前の因子(Child-Pugh score、腹水の有無、服用開始量)との関連を検討した。【結果】43症例の背景肝疾患は、HBV/HCV/HCV+PBC/アルコール/NBNC/NASHが8/24/1/2/7/1症例、Child-Pugh scoreは5/6/7/8点が22/15/5/1症例、HCC StageはII/III/IVA/IVBが7/16/8/12症例であった。開始服用量800/400mgが31/12症例、平均服用期間は87.6日(5-433日)、中止後も観察し得た36症例の平均観察期間は291日であった。中止理由は、PD14症例、肝障害7症例、多形紅斑4症例、下痢3症例、T.Bil値上昇3症例、NH3値上昇、代謝性脳症、肝腎症候群、帯状疱疹、腫瘍マーカー上昇、薬物性発熱、吐血、下血、DIC、全身倦怠感が各々1症例、詳細不明2症例であった。ソラフェニブ中止43症例の服用前の上記因子と服用期間との比較検討で、Alb(r=0.357、p=0.021)、PT% (r=0.402、p=0.013)、年齢(r=-0.337、p=0.029)に有意な相関認め、Child-Pugh score 5点対6点以上(p=0.008)に有意な関連を認めた。中止後も観察可能であった36症例の50%生存期間は280日であった。また、服用期間が28日以上の症例における生存率の改善を認めた(p=0.023)。【結論】Child-Pugh分類の規定因子の中でも特にAlbとPT%が肝細胞癌に対するソラフェニブによる治療の服用期間に寄与する因子であることを示した。 |
索引用語 |
ソラフェニブ, 肝細胞癌 |