セッション情報 中国支部専修医奨励賞(卒後3-5年迄)

タイトル

食道潰瘍を伴った重症潰瘍性大腸炎の一例

演者 住元 旭(広島記念病院内科)
共同演者 隅井 雅晴(広島記念病院内科), 松本 健太(広島記念病院内科), 山本 隆一(広島記念病院内科), 炭田 知宜(広島記念病院内科), 児玉 英章(広島記念病院内科), 田村 忠正(広島記念病院内科), 津賀 勝利(広島記念病院内科), 江口 紀章(広島記念病院内科), 嶋本 文雄(県立広島大学人間文化学部), 益田 浩(益田内科胃腸科医院)
抄録 症例は30歳代女性。他院にて全大腸炎型潰瘍性大腸炎の治療を受けていた。寛解状態が維持されていたが、平成2○年○月になり10回/日以上の下痢、血便、腹痛、38℃以上の発熱が出現するようになった。その後、前胸部痛も出現し食事摂取が困難となってきていた。C7HRPは陰性で、5ASAの内服と注腸療法の併用が行われたが、病状が改善しないため治療目的にて当院に紹介となった。入院時の大腸内視鏡検査では、横行結腸から直腸にかけて連続した易出血性の炎症粘膜が広がっていた。上部消化管内視鏡検査では、食道に打ち抜き様潰瘍が多発していた。病理検査で、核周囲に空砲化を示す扁平上皮細胞が散見されウィルス性食道潰瘍と考えられた。胃、十二指腸には著変を認めなかった。Hb9.2mg/dlの貧血を伴う重症の病態であったため、絶食、中心静脈栄養としタクロリムス内服による治療を開始した。血中トラフが10-15ng/mlになるよう投与量を調節していき約1週間で下痢症状は軽減したが、嘔気症状が持続したため絶食は2週間継続した。この間、大腸検査時に水溶性プレドニン20mgを大腸内に撒布した以外はステロイドの全身投与は行わなかった。また、アザチオプリンは併用せず、抗ウィルス製剤の併用投与も行わなかった。その後、血中トラフが5-10ng/mlになるようタクロリムスを減量し、上部消化管内視鏡検査で食道潰瘍が治癒していることを確認して軽快退院となった。昨今、タクロリムスやインフリキシマブが潰瘍性大腸炎の治療に適応となり、重症、難治症例への治療選択肢が広がっている。当院での潰瘍性大腸炎に対するタクロリムス使用経験と併発した食道潰瘍についての文献的考察を含めて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 食道潰瘍