セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル

集学的治療により救命し得た、アセトアミノフェン中毒による劇症肝炎の一例

演者 藤澤 利充(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学)
共同演者 丸本 美穂(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 石川  剛(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 在津  潤一(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 浦田  洋平(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 内田 耕一(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 寺井 崇二(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 山崎 隆弘(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学), 坂井田  功(山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学)
抄録 アセトアミノフェン(以下APAP;N-Acetyl-p-aminophenol)の大量服薬において、その3日後をピークとした重篤な遅発性肝障害が生じ得る。今回我々は、APAPの大量服薬後に薬物性肝障害を来しN-アセチルシステイン(以下NAC)を早期に投与したにも関わらず第4病日に劇症肝炎を発症した症例を経験した。血漿交換・持続的血液濾過透析などの集学的治療により救命し得たので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】41歳、女性。自殺企図で市販の解熱鎮痛薬を大量に内服(APAPとして約12g相当)したのちに意識障害・嘔吐が出現したため、前医に救急搬送、同日緊急入院となった。肝障害(AST 464IU/l, ALT 390IU/l)を伴うAPAP中毒に対して、服薬12時間後よりNAC投与が開始された。しかし、第4病日に肝障害増悪(AST 4105IU/l, ALT 5190IU/l, T.Bil 3.4mg/dl)に加えて、著しいプロトロンビン活性低下(12%)と4度の肝性脳症が出現したため、急性型劇症肝炎の診断のもと当院に救急搬送されAMEC3入室となった。同日より血漿交換・持続血液濾過透析・ステロイド投与などの集学的治療を開始し、脳浮腫・感染症などの合併症に対する治療を併施した結果、全身状態は速やかに改善し、転院17日後に軽快退院した(ステロイド漸減・全身管理のため前医へ転院した)。
索引用語 アセトアミノフェン中毒, 劇症肝炎