抄録 |
【目的】肝平滑筋肉腫と鑑別が困難であった,未分化型肝細胞癌の1例を経験したので報告する.【症例】69歳,男性.平成23年2月に行われた腹部CTにて肝右葉に33.8mmmの境界明瞭な腫瘤を指摘されるも,造影効果乏しく肝細胞癌は否定的と考えられ経過観察されていた.3月に行われたMRIでもサイズに変化なかったが念のため生検をすすめたところ希望されず,その後は外来通院されなかった.平成24年5月29日頃より右季肋部痛が出現し当科紹介受診となった.既知の腫瘍は長径が2倍程度まで増大しており腫瘍マーカーはAFP:6.1、PIVKA-2:30と上昇は認めなかったが,多発肝内転移を伴う肝腫瘍を疑われ精査加療目的に入院となった.【経過】6月20日に肝生検行ったところ,免疫染色の結果からは肝原発平滑筋肉腫と考えられた.入院経過中にもサイズが増大し,腹膜,横行結腸浸潤を疑う所見が認められたが,化学療法への反応性は乏しいと判断し7月10日に手術(肝右葉切除+横行結腸,横隔膜,壁側腹膜部分切除)施行した.【結語】病理診断では一部,中~高分化型肝細胞癌を認め,肉腫成分主体の未分化型肝細胞癌と考えられ,診断に苦慮した貴重な症例と考え,多少の文献的考察を加え報告する. |