セッション情報 中国支部研修医奨励賞(卒後2年目迄)

タイトル

慢性的な食後の上腹部痛を来たし、Celiac artery compression syndrome(CACS)と診断した1例

演者 渡邉 亜加音(川崎医科大学 総合臨床医学)
共同演者 楠 裕明(川崎医科大学 総合臨床医学), 塚本 真知(川崎医科大学 総合臨床医学), 山下 直人(川崎医科大学 総合臨床医学), 本多 啓介(川崎医科大学 総合臨床医学), 井上 和彦(川崎医科大学 総合臨床医学), 今村 祐志(検査診断学), 眞部 紀明(検査診断学DELIMITER消化管内科学), 畠 二郎(検査診断学), 藤田 穣(消化管内科学), 松本 啓史(消化管内科学), 垂水 研一(消化管内科学), 鎌田 智有(消化管内科学), 塩谷 昭子(消化管内科学), 春間 賢(消化管内科学)
抄録 食後の上腹部痛を来たす器質的疾患のひとつにCeliac artery compression syndrome(CACS)があるが、症状発現の原因は食直後の腹腔動脈(CA)の血流不足によると考えられている。CACSは本邦では疾患自体が一般的でないため、functional dyspepsia(FD)やfunctional abdominal pain syndrome (FAPS)と診断されることも多く、FD診療においては非常にやっかいな疾患である。今回われわれはCACSの2例を経験し、超音波法を用いてその消化管運動機能検査を評価した。【症例】30歳代、女性。間欠的な右下腹部の鈍痛を主訴に受診。痛みは食事中に出現し30分程度持続した。造影CTや採血検査、腹部超音波検査(US)、上部消化管内視鏡検査(内視鏡)で異常を認めず、約4ヶ月間外来でFDとして加療された。しかし、難治性であったため改めてUSによるCAの血流評価を依頼した。CAの血流は高値(212cm/min)であり、呼気と吸気の血流の差は85cm/minであり、CACSと診断した。CA根部の狭小化はUSおよび3D-CTで確認された。機能検査では近位胃の拡張能低下と十二指腸胃逆流の増加が指摘されたが、胃排出能と前庭部運動能は正常範囲内であった。【結語】難治性の食後腹痛患者にCACS患者が含まれている可能性はあり、CAの血流測定を行うべきである。
索引用語 Celiac artery compression syndrome(CACS), 腹腔動脈