セッション情報 |
パネルディスカッション19(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)
消化器臓器移植後の免疫抑制療法の新展開
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タイトル |
外PD19-4:C型肝硬変に対する生体肝移植後のMizoribineを用いた免疫抑制
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演者 |
高原 武志(岩手医大・外科) |
共同演者 |
新田 浩幸(岩手医大・外科), 若林 剛(岩手医大・外科) |
抄録 |
2007年1月より当教室でも生体肝移植が導入され、2011年3月までに36例施行した。その中で12例のC型肝硬変に対して生体肝移植を施行した。C型肝硬変に対する肝移植後のC型肝炎再発はほぼ必発であり抗ウィルス治療が重要であるとともに、最近ではインターフェロンとリバビリン併用の抗ウィルス治療中または治療後の、急性拒絶・自己免疫性肝炎・慢性拒絶といった免疫系が複雑に関与した病態にも着目されており、今後移植後C型肝炎治療において、症例に応じてカルシニューリン阻害薬の選択や代謝拮抗剤の適格な導入が重要な課題になってくると思われる。当教室では、抗ウィルス治療の早期導入・長期継続のため代謝拮抗剤として術後早期よりMizoribine(Miz)を使用してきた。Mizとリバビリンは化学構造式が似ており、その分子量も近い。In vitroの報告では、IFN投与時にリバビリンの相乗効果と同様に、Mizにも相乗効果が認められている。さらに、少量のIFNでもリバビリンと同様にMizにも相乗効果を認めると報告されている。また、Miz自体に直接CMVの殺傷作用があると、in vitroで報告されている。リバビリンには貧血などの副作用をミゾリビンにはそれ程大きな副作用は認めず、肝代謝ではなく腎代謝でありその使用に当たって腎機能に応じてその投与量を調節可能である。当教室のMizのリバビリン作用と免疫抑制作用を利用したプロトコールを施行しているので今回呈示する。リバビリンを使用せずにMizの免疫抑制作用(ステロイドの早期離脱が可能)とリバビリン作用と抗CMV作用を利用して、低容量のIFN製剤を使用することにより、脱落症例もなく肝移植後の良好な抗ウィルス療法を確立できたと考えている。C型肝硬変に対する生体肝移植の最大の問題点であるC型肝炎再発治療において、レシピエントの不安定な術後状態を考えてもMizを用いた新たな治療戦略は有望であると考えている。 |
索引用語 |
肝移植, 免疫抑制 |