セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | (消)遅発性低γグロブリン血症に合併し著明な低蛋白血症を呈したランブル鞭毛虫症の1例 |
演者 | 吉田 光宏(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
共同演者 | 平井 郁仁, 宇野 博之, 頼岡 誠, 久部 高司, 松井 敏幸, 八尾 恒良, 田中 仁, 岩下 明徳, 小島 進 |
抄録 | ランブル鞭毛虫には嚢子と栄養型とがあり、嚢子の経口摂取で感染する。栄養型は小腸上部に寄生するが、感染者の大多数は無症状のまま経過するか一過性に胃腸症状を呈するのみでほとんどは自然に駆虫される。しかし、宿主に免疫不全が存在すると感染が遅延化し、臨床的に重症化する場合がある。今回我々は、遅発性低γグロブリン血症 (common variable hypogammaglobulinemia、以下CVH)に合併したランブル鞭毛虫症(以下、ラ症)によりの合併により著明な低蛋白血症を呈した症例を経験したので報告する。症例は57歳、女性。平成11年5月より食欲低下、9月より下痢、下肢の浮腫出現し、島原池田病院受診。低蛋白血症と貧血指摘され、胃X線検査、注腸X線検査など種々の検査行われるも原因不明であり精査目的にて当科転院となった。入院時より1日5行程度の下痢(脂肪便はない)があり、理学的所見では両下肢に浮腫、腹水貯留を認めた。血液検査では、総蛋白:3.9g/dl、アルブミン:2.6 g/dlと著しい低蛋白血症、IgG:302mg/dl、IgA:1mg/dl,IgM:48mg/dlとγ-グロブリンの低下認めた。免疫不全の原因疾患は特定されずγ-グロブリンの低下はCVHと診断した。尚、便の培養および寄生虫卵検査では異常を認めなかった。α-1 アンチトリプシンクリアランスは30.8ml/dayと上昇しており腸管からの蛋白漏出が示唆された。上部消化器内視鏡検査では十二指腸球部から第3部にかけ粘膜粗造、小顆粒状の隆起の散在認め、同部の生検組織標本と後日採取した十二指腸液よりランブル鞭毛虫栄養型が検出されラ症と診断した。低蛋白血症はラ症による蛋白漏出性胃腸症と判断、駆虫を目的としメトロニダゾール750mgを10日間投与した。投与開始2週間後に再度採取した十二指腸液からは虫体は検出されず下痢などの症状は消失、約3週後には低蛋白血症も総蛋白:5.7g/dl、アルブミン:4.2g/dlTPと改善した。本症例は基礎疾患にCVHがありラ症の重篤化による腸管からの蛋白漏出により著明な低蛋白血症をきたした。本症例の如く原因不明の低蛋白血症では頻度は少ないがラ症も念頭に置く必要があると思われた。 |
索引用語 | 低蛋白血症, ランブル鞭毛虫症 |