セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸EMR / ESDの現状と適応

タイトル 内PD20-2:

2cm以上の大腸腫瘍に対する内視鏡治療(EMR・ESD)の適応

演者 大野 康寛(国立がん研究センター東病院・消化管腫瘍科)
共同演者 池松 弘朗(国立がん研究センター東病院・消化管腫瘍科), 金子 和弘(国立がん研究センター東病院・消化管腫瘍科)
抄録 【目的】大腸ESDは保険収載により,多くの施設で行われるようになると思われるが,難易度が高く,穿孔等の偶発症の危険性が高いため,適応病変を明確にする必要がある.大腸腫瘍に対するEMR・ESDの適応病変を明らかにする為に,内視鏡治療を行った2cm以上の大腸腫瘍について検討を行った.【方法】2006年4月から2010年9月までに,内視鏡治療を施行したIpを除く2cm以上の大腸腫瘍287症例302病変(腺腫106病変,pM癌142病変,pSM1癌22病変,pSM2以深癌32病変)を対象に,治療法別(EMR:139病変,ESD:163病変)における1)治療成績,2)偶発症,3)遺残再発に関して検討を行った.【成績】1)平均腫瘍径はEMR:27.6mm,ESD:36.6mmで,EMRは40mm未満の症例が多くを占めていた.肉眼型はEMRでLST-G:59%,LST-NG:12%,ESDでLST-G:54%,LST-NG:42%であり,ESDではLST-NGの割合が高かった.また,肉眼型によるSM癌率は,LST-G(MIX)は20%,LST-G(UNI)は0%,LST-NGは24%であった.一括切除率はEMR40.3%,ESD:82.8%で,EMR では40mm以上の病変で,多分割(5分割以上)となる割合が高かった.組織型はEMRで腺腫:40%,M:50%,SM1:3%,SM2~:7%,ESDでは腺腫:31%,M:45%,SM1:10%,SM2~:14%であり,悪性度の高い病変にESDを行う傾向にあった.2)EMRでは後出血を3例(2.2%),穿孔を2例(1.4%)に認め,ESDにおいて後出血を4例(2.5%),穿孔を5例(3.1%)に認めたが,外科手術を必要とする症例は認めなかった.3)内視鏡治療後に半年以上の経過観察を行った症例は,EMR:123例,ESD:135例であり,EMR9例(7.3%),ESD1例(0.7%)に遺残再発を認めが,全例追加の内視鏡治療にて病変は消失した.【結論】ESDは一括切除率・遺残再発率に関してEMRより優れているが,穿孔率はやや高値であった.EMRにおいて多分割切除となる可能性が高く,SM癌の可能性が高い病変(4cm以上LST-G(MIX)およびLST-NG)については,ESDを選択すべきであると考えられた.
索引用語 大腸ESD, 内視鏡治療