セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | (内)腸重積を合併し、内視鏡的に切除し得た大腸脂肪腫の一例 |
演者 | 佐々木 達(福岡県済生会福岡総合病院 内科) |
共同演者 | 壁村 哲平, 右田 良克, 名本 真章, 岩切 裕二, 本田 邦臣, 土田 治, 谷口 恭子 |
抄録 | 症例は75才、男性。高血圧症で近医通院中。平成12年5月上旬より食欲不振、上腹部痛を自覚していた。同医で胃透視を施行されたが異常は認めず。6月14日当科初診時、左そけいヘルニアを認め、血液生化学でCRP軽度高値(2.0mg/dl)、腹部単純X線写真で少量の小腸ガス像があり、食欲不振の原因精査目的で入院となった。6月15日、スクリーニング目的の大腸内視鏡検査施行時、横行結腸内腔を占拠する粘膜下腫瘍様病変を認めた。内視鏡による整復で腫瘤は上行結腸に移動し、送気後の観察では回盲弁上唇に付着したピンポン球大の有茎性の粘膜下腫瘍で、腫瘍表面および周辺の盲腸粘膜には発赤やびらんがあり、反復する肛側結腸への重積による炎症性変化と考えられた。同日の腹部造影CTで腫瘍内部の吸収値は皮下脂肪と同様の低吸収で、脂肪腫が示唆された。翌16日の逆行性大腸透視では、重積状態は認められなかった。食欲不振の原因と考えられること、有茎性の良性病変で根治が期待できることより、6月21日、留置スネアを併用した内視鏡的切除術を施行した。術後自覚症状の増悪はなく、6月28日退院。病理組織診断は脂肪腫(長径4.0cm)であった。大腸脂肪腫では径4cmを越えると腸重積合併例が多くなるとされる。腸重積解除後も再発防止のため腫瘍の切除が必要で、径3cm以下のものは内視鏡的に切除可能とされているが、術前診断率が低いことと大きなものほど重積しやすいことより過大手術が行われる例も少なくない。最近ではより低侵襲的な腹腔鏡下手術を用いた報告も散見される。また術前診断根拠として内視鏡の他にCTが有用であるといわれる。本症例は径4cmと比較的大きい病変であったが有茎性であり、脂肪腫の診断のもと一番侵襲の少ない内視鏡的切除が行えた点で貴重と考えられ、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 大腸脂肪腫, 内視鏡的治療 |