セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | (消)腸管出血性大腸菌0-157感染を契機として肝不全に至った肝硬変症の一例 |
演者 | 坂本 久男(長崎大学 第一内科) |
共同演者 | 中川 祐一, 佐伯 哲, 柳 謙二, 阿比留 正剛, 重野 賢也, 武田 宜士, 中尾 一彦, 加藤 有史, 中田 恵輔, 江口 勝美, 矢永 勝彦, 鳥山 寛 |
抄録 | 症例は68歳女性.平成8年に糖尿病を指摘され、平成12年2月から当科において強化インスリン療法を開始.その際に肝機能異常を指摘され、腹腔鏡検査などの諸検査から非B非C型肝硬変と診断された.同年6月、激しい下痢と腹痛が出現.次第に増悪し下血もみられたため当科入院となった.血液生化学検査では白血球増多とCRP高値を認め、大腸内視鏡検査では全大腸にわたって浮腫、糜爛、出血がみられ出血性大腸炎の所見であった.便培養、血液培養では起炎菌は検出されず、血液中のベロ毒素、大腸菌O 157抗原も陰性であった.しかし、大腸菌O 157 LPS 抗体が陽性であったことから、腸管出血性大腸菌O 157 による出血性大腸炎と診断した.絶食、中心静脈栄養、抗菌剤投与などにより症状は徐々に軽快し炎症所見も改善傾向を示したが、次第に総ビリルビン、肝胆道系酵素が上昇した.さらに、アルブミンの低下、腹水の出現、軽度の肝性脳症を認める肝不全状態に至った.保存的治療を行なったが高度の黄疸が持続し腎機能障害も出現したため、家族の強い希望もあり生体肝移植術を施行した.以上、大腸菌O157感染を契機として肝不全をきたした肝硬変症の一例を経験したので報告する. |
索引用語 | 腸管出血性大腸菌, 肝不全 |