セッション情報 |
パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
大腸EMR / ESDの現状と適応
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タイトル |
内PD20-3:大腸EMR / ESDの現状と適応
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演者 |
坂本 直人(順天堂大・消化器内科) |
共同演者 |
長田 太郎(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】ESDは早期胃癌や早期食道癌の標準治療として普及してきた。大腸においてもその有効性は明らかであるが、内視鏡治療の適応となる病変の多くはより簡便な手技であるEMRによる切除が可能であり、いたずらにESDを行うべきではない。今回、EMRおよびESDの適応を考える際に重要な病変群であるLSTの臨床病理学的特徴を明らかにした上で切除法の選択について報告する。【方法】1995年から2010年に当院で内視鏡および外科的切除したLST-G 418病変、LST-NG 473病変を病理組織学的に検討した。また、EMR後に経過観察できた462病変の大きさ、分割数と遺残再発の関係等について検討した。ESD251例についても検討を行った。【成績】担癌率はいずれの病変も腫瘍径に伴って上昇し、SM癌の割合はLST-Gでは10~19mmで0.7%、20~29mmで9.0%、30mm以上で9.0%であり、粗大結節部での浸潤が多く、顆粒均一型では30mm以上でも1.4%しか認めなかった。LST-NGではそれぞれ7.0% 、18.4%、30.0%であった。EMR後遺残再発を認めなかった413例の平均径は17.9mm、平均分割数は1.6回で再発を認めた49例の24.2mm、4.6回の間に有意差を認めた(p<0.01)。一方、LSTに対するESDの成績はESDを導入した2006年が平均径35mm、平均切除時間144分、一括切除率72%であったが、2008年は平均径32mm、平均切除時間71分、一括切除率96%であり、その後は虫垂内病変1例を除き遺残再発も認めていない。【結語】LST-Gに関しては大きくても計画的分割切除が許容されると思われるが、一括切除の観点からは20mm程度までがEMRのよい適応であり、それ以上はESDも考慮すべきと思われる。また、大腸ESDを新たに始める施設は無理せず、安全に行うことが重要である。いずれにしてもpit patternを含めた詳細な術前診断をもとに、局在やアプローチのし易さなども考慮した上で個々の病変に適切な切除法を選択し、状況に応じて常時柔軟に対処することが重要である。 |
索引用語 |
大腸ESD, 大腸EMR |