セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | (消)肝嚢胞による閉塞性黄疸をエタノール注入療法により解除しえた1例 |
演者 | 山川 正規(長崎市立市民病院 内科) |
共同演者 | 水田 陽平, 神田 哲郎, 楠本 征夫, 川野 洋治, 河合 紀生子, 今村 和之, 村田 育夫, 大場 一生, 大曲 勝久, 磯本 一, 村瀬 邦彦, 河野 茂 |
抄録 | 症例は76才、男性で、主訴は上腹部不快感。高血圧で近医通院中、H12年7月より上腹部不快感が出現した。腹部超音波検査にて巨大肝嚢胞および軽度の肝内胆管拡張が認められ、精査加療目的で当科へ紹介入院となった。他覚的には右上腹部に腫瘤様抵抗が認められた。検査成績ではALT、LAP、γ-GTP、DU-PAN-2 の上昇を認め、耐糖能異常もみられたが、PFDテストは正常であった。腹部CTでは肝嚢胞が多発しており、肝門部の嚢胞は約8cm 大で、肝内胆管の拡張を伴っていた。総胆管は拡張なく、胆嚢内結石および膵鈎部に多房性嚢胞性病変を認めた。上部消化管内視鏡では十二指腸球部大弯に壁外圧排所見がみられた。逆行性胆道膵管造影では総肝管上部における胆管圧排狭窄および膵鈎部分枝と連続した約2cm 大の嚢胞性病変を認めた。経乳頭的膵嚢胞生検では線維性結合組織と粘液を有する1層の円柱上皮がみられたが、明らかな異型は認めなかった。以上より、肝嚢胞による胆管圧排狭窄に分枝拡張型膵嚢胞腺腫を合併したものと考えた。その後、黄疸が出現してきたため経皮的肝嚢胞ドレナージを施行した。内容液はほぼ無色透明で、約300ml の排液後、胆管・血管系との交通がないことを確認し、純エタノール50ml の注入療法を行った。3日間留置にてビリルビン値は低下し、排液もほとんどなくなったためカテーテルを抜去した。約2ヶ月後の現在、肝機能はほぼ正常で、肝内胆管拡張は改善し、肝嚢胞は縮小したままである。肝嚢胞により閉塞性黄疸を生じることはまれであり、文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 巨大肝嚢胞, 閉塞性黄疸 |