セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸EMR / ESDの現状と適応

タイトル 内PD20-4:

大腸EMR/ESDの成績と適応の妥当性

演者 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科), 高橋 正憲(さいたま赤十字病院・消化器内科)
抄録 目的:ESDとEMRの成績を比較することによりESD適応の妥当性を検証する。対象:2007.6~2011.12までに経験したESD施行170病変とEMR/EPMR施行489病変。ESD絶対適応:20mm以上の肉眼形態LST-NG,LST-G(mix),VI軽度不整。相対適応:超多分割が想定されるLST-G(homo),大型の陥凹性病変。EMR/EPMR適応:ESD適応とならない平坦あるいは隆起性病変(比較のため10mm以上を対象とした)。結果:ESD群は、局在:直腸48、左側結腸47、右側結腸75.肉眼形態:LST-NG(PD)36,LST-NG(F)39,LST-G(mix)53,LST-G(homo)7,隆起型24,陥凹型11.Pit pattern診断:VI軽度132,VI高度13,IV 21,IIIs 4平均術時間81.5±67.0分、平均腫瘍径:32.8±13.0mm。一括切除率 97.1%(165/170)、一括完全切除率95.9%(163/170)、遺残再発1例(0.6%)。最終病理診断:M癌110, SM浅層癌36,SM深部浸潤癌11, adenoma13。偶発症:穿孔は1例(0.6%),後出血3例(1.8%)。EMR/EPMR群は、局在:直腸39、左側結腸241、右側結腸209。肉眼形態:LST-NG(PD)29,LST-NG(F)110,LST-G(mix)8,LST-G(homo)44,隆起型287,陥凹型11。Pit pattern診断:VI軽度106,VI高度26,IV 192,IIIs 11,IIIL 152.平均腫瘍径14.7±5.6mm。遺残再発2例(0.6%) うち1例は再再発で手術を要した。最終病理診断:M癌156, SM浅層癌21,SM深部浸潤癌 17,adenoma 295。偶発症:穿孔は2例(0.6%),後出血2(0.6%)。両群で外科手術、輸血を要する症例はなかった。両群比較では、局在:ESD群が有意に直腸に多く、左側結腸で少なかった。肉眼形態:ESD群が有意にLST-NG(PD),LST-G(mix)が多く、隆起型が少なかった。Pit pattern診断では、ESD群が有意にVI軽度が多く、IV、IIILが少なかった。病理診断:ESD群が有意にSM癌率、担癌率が高く、adenomaが少なかった。偶発症は両群に有意差を認めなかった。結語:結果からESDの適応は遵守されており、病理結果からみても肉眼形態、pit patternの適応設定は妥当であったと考えられる。また、安全性もEMRと同等レベルまで担保されていた。
索引用語 大腸ESD, 適応