セッション情報 パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

大腸EMR / ESDの現状と適応

タイトル 内PD20-7:

当院における大腸ESDと周辺粘膜切開併用EMRの比較

演者 望月 洋介(滋賀医大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 斉藤 康晴(滋賀医大附属病院・光学医療診療部), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【背景】一般的にEMR後の遺残再発率はESDと比して高いとされる。EMRや分割EMRによる局所再発はスネアがすべることによる側方断端での遺残もしくは分割切除部間での取り残しが原因と考えられる。当院では,通常のEMRでは一括切除が困難な大きさの病変に対し、周辺を針状メスで粘膜切開した後にスネアリングする周辺粘膜切開併用EMR(EMR after a circumferential mucosal incision;以下C-EMR)を行っている。【目的】C-EMRとESDの安全性と治療成績を評価する。【方法】当院で2010年1月から2012年2月に施行したESD51症例59病巣およびC-EMR42症例49病巣について比較検討した。【成績】平均年齢はそれぞれ69.2歳:68.1歳,男/女比は男33/女18:男31/女18,平均病変サイズ:29.9×25.9mm:24.1×20.5mmでESD群が有意に大きかった。病変局在に差はなかったが,形態別ではLST-GMおよびLST-NGがESD群で多い傾向にあった。平均切除時間は28.7:48.5分であった。切除病理はESD群でm癌47,SM10,SM2癌,腺腫9,C-EMR群でm癌19,SM13,SM2癌4,腺腫23でC-EMR群で腺腫が有意に多かった。一括切除率は49/59(83.1%):39/49(79.6%),一括治癒切除率は46/59(80.0%):36/49(73.5%)でESD群で高い傾向にあった。後出血率は3/59(5.1%):0/49(0%)であり穿孔は両群に1例ずつ認めた。【結論】ESDまでは必要ないサイズの病変や深部浸潤の可能性が低い3cm程度までのLST-Gに対するC-EMRは,低リスクかつ短時間で施行できていた。またC-EMRはESDと同等の治療成績であり,EMRかESDかで迷うような病変に対する選択肢のひとつになると思われる。当院における治療法選択の具体的な適応基準を実例と共に提示したい。
索引用語 ESD, EMR