セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
(消)von Meyenburg's complex(VMC)が疑われた一症例
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演者 |
太田 聡(九州大学 医学部 病態制御内科) |
共同演者 |
國吉 政美, 岩尾 真孝, 野口 賢一, 鶴田 悟, 杉本 理恵, 古藤 和浩, 遠城寺 宗近, 中牟田 誠, 名和田 新 |
抄録 |
von Meyenburg''s complex(VMC)が疑われた一症例. 九州大学医学部 病態制御内科.太田聡,國吉政美,岩尾真孝,野口賢一,鶴田悟,杉本理恵,古藤和浩,遠城寺宗近,中牟田誠,名和田新症例は43歳女性.主訴,なし.家族歴,叔父に肺癌,肝癌.生活歴,特記事項なし.1999年3月健康診断にて胸部Xp上異常陰影を指摘,CT,MRI検査上胸部には所見を認めなかったが,肝右葉ドーム下に多発する嚢胞状病変を認め,精査目的にて同年6月入院となった.入院時検査成績では,γGTP53mU/ml ,ICG29.3%,DUPAN-2 2200U/ml,SPAN-1 78U/ml,CA19-9 が73.5U/mlと高値. CT,MRIではS6,S7に多発する5~10mm大の嚢胞状の病変が観察された.特に多嚢胞腎は認めていない.血管造影検査では腫瘍濃染像認めず,著明なspleno-renal shuntを認め,門脈圧亢進によるシャントの所見であった.肝生検では胆汁の沈着を伴う胆管上皮細胞の増生を認めたが腫瘍細胞は認めず,また明らかな線維化像も認めていない.以上よりvon Meyenburg''s complex(VMC)を強く疑った.外来にて高値であったDUPAN-2は600U/ml台へと低下した.これら経過から一旦退院,経過観察とした.退院後DUPAN-2は600~700U/ml台にて推移していたが,現在再び1200U/ml程度に上昇してきている.MRCP,CTでは,悪性腫瘍の所見は認めていない.今後再入院のうえ,鑑別診断の為ERCP,肝生検を予定している.本症例で鑑別すべき疾患としては先天性肝線維症(congenital hepatic fibrosis:CHF)やCaroli 病(先天性肝内胆管拡張症),von Meyenburg''s complex(VMC/微小胆管過誤腫)などがある.何れの疾患にしても本症例は特異的な組織学的所見に乏しく,鑑別診断が困難な症例である.上記疾患は臨床像,組織学的所見について類似しており,特に前2疾患については同一あるいは重なり合う疾患ではないかという見解もある.しかしVMCに比べ,Caroli病やCHFでは少数ながら悪性疾患の報告が見られ,特にCaroli病では胆管細胞癌の報告が見られる.今回我々は比較的稀と思われるvon Meyenburg''s complex(VMC)が疑われた一症例を経験したのでここに報告する. |
索引用語 |
von Meyenburg's complex, Caroli 病 |