セッション情報 |
その他
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タイトル |
(消)(S1)EndoCutモードを用いた内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)による総胆管結石の治療
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演者 |
大黒 学(国立長崎中央病院 臨床研究部) |
共同演者 |
矢野 右人, 浜田 久之, 宿輪 三郎, 堤 卓也, 楠本 征夫 |
抄録 |
【目的】内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)は、既に確立された総胆管結石の治療手技であるが、出血や穿孔などの偶発症のリスクが他の内視鏡的治療より高く、熟練した技術が必要とされる。そういう背景からか、近年、内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD) による総胆管結石治療がその手技の簡便さゆえに注目を浴あびている。しかし、結石の径が大きい症例では機械的破砕が必須となり、乳頭に与える機械的ダメージ、さらにはそれに伴う急性膵炎合併の危険性も高くなることを十分考慮した上で治療に望む必要がある。我々は、より安全な総胆管結石治療を行う目的で、1999年4月からEndoCutモード(切開出力自動制御機構)を用いたEST(以下EndoCut-EST)を施行しており、今回、その治療成績、治療早期の合併症に関して、EPBD施行症例と比較検討した。【対象と方法】1998年1月から1999年3月までの総胆管結石24症例(男14例、女10例、平均年齢76歳)にはEPBDによる治療を、1999年4月から2000年6月までの21症例(男11例、女10例、平均年齢71歳)にはEndoCut-ESTによる総胆管結石治療を施行した。EPBDは8mm径バルーンで6~8気圧、1~2分間の拡張を行った。EndoCut-ESTにはERBE社製高周波装置(ICC200)のEndoCutモードを用いて、ガイドワイヤー誘導下にESTを行った。いずれの場合も必要に応じて、機械的結石破砕(ML)、ESWLを併用した。なお、プレカッティングは行っていない。【結果】EndCut-ESTによる治療成績:21例中20例で結石除去が可能であった。治療回数は1回/16例、2回/4例、3回/1例であった。治療早期の合併症として、出血、消化管穿孔、急性膵炎は1例も認められなかった。EPBDよる治療成績:24例中22例で結石除去が可能であった。治療回数は1回/19例、2回/4例、3回/1例であった。また、治療成功22例中2例は完全排石のためにESWLを必要とした。早期合併症としては、出血、消化管穿孔は認められなかったが、急性膵炎の併発を2例に認めた。【結論】EndoCutモードを用いる利点は、自動制御で切開と凝固が交互になされるため、凝固不良による出血や過剰凝固による乳頭浮腫が防止される点、さらにパピロトームの制御が比較的容易であるため、切開長、切開方向をコントロールしやすい点にある。今後さらに症例数を増やした上での評価が必要であるが、EndCut-ESTによる総胆管結石の治療は、早期の偶発症の発現もなく、EPBDよりも安全な治療手技であると思われた。 |
索引用語 |
EST, EPBD |