セッション情報 |
パネルディスカッション20(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
大腸EMR / ESDの現状と適応
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タイトル |
内PD20-8:当院におけるEMR/ESDの治療成績からみた早期大腸癌の治療戦略
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演者 |
日下 利広(京都桂病院・消化器センター消化器内科) |
共同演者 |
藤井 茂彦(京都桂病院・消化器センター消化器内科), 國立 裕之(京都桂病院・消化器センター消化器内科) |
抄録 |
【背景】大腸ESDは早期大腸癌を主な対象として普及しつつあるが,未だ標準化したとは言いがたく,すでに標準化されているEMRとの治療選択も施設によって様々であるのが現状であろう.【目的】当院におけるEMR/ESDの治療成績から,早期大腸癌に対する適切なEMR/ESDの治療選択について考察する.【対象と方法】1)EMR施行早期大腸癌1220病変(隆起型/陥凹型/LST:939/72/209病変,1997-2011年),2)ESD施行104病変(隆起型/陥凹型/LST:22/1/81病変,2007-2011年)を対象に,1)については遺残再発病変の特徴を中心に,2)については治療成績を中心にそれぞれ解析した.なお当院におけるESDの適応病変は,術前内視鏡診断でEMR一括切除困難と考えられた高異型度腺腫~sm浅層浸潤癌である.【成績】1)全体の一括切除率84%,遺残再発率2.5%,後出血2%,穿孔率0.3%で全例内視鏡的処置のみで保存的に軽快した.遺残再発病変は31病変で,その内2cm以上が81%,LSTが71%,分割例が77%で, 追加外科手術例を3例認めた.2)平均腫瘍径29mmで,平均処置時間は100分であった.全体の一括切除率は87%(直近1年は92%)で,遺残再発は適応外sm深部浸潤癌1例のみで外科的根治術を追加した.その他には現在まで遺残再発症例を認めていない.後出血9%,穿孔率5%であったが,全例内視鏡的処置のみで保存的に軽快した.2cm以上のLSTに病変を限定するとEMR/ESDの成績は,一括切除率が33%/84%で,遺残再発率が15%/0%であった.【結論】EMR遺残再発例の多くは2cm以上のLST病変の分割例で,それらを主な治療対象としたESDはより高い根治率が期待できる治療手技で,やや高い発生率の偶発症も保存的にコントロール可能であり,治療選択として妥当である. |
索引用語 |
大腸腫瘍, ESD |