セッション情報 一般演題

タイトル

(消)超音波で血流が描写された胆嚢コレステロールポリープの1例

演者 鶴長 泰隆(長崎記念病院 外科)
共同演者 福井 洋, 塩竃 利昭, 水谷 明正, 上田 剛資, 渡海 由貴子
抄録 術前超音波検査でポリープ内に明瞭な血流を描写できた胆嚢コレステロールポリープの1例を経験したので報告する。症例は55才の男性で自覚症状はない。今年8月24日,検診を受け,腹部超音波検査で胆嚢ポリープを指摘された。8月31日,精査目的で当院に紹介。初診時の腹部超音波検査では胆嚢頚部に14mm 大の有茎性ポリープを認めた。エコーレベルは肝よりやや高く,実質性パターンで,表面は微細不整であった。カラードップラーでは血流を認めなかったがパワーモードでポリープ内に明瞭な血流が描写された。血液,生化学検査では RBC 508 万,Hb 16.3 g/dl,WBC 5900,Plt 21.3 万,T-Bil 0.82 mg/dl,GGT 48 U/L,ALT 24 U/L,AST 32 U/L,CEA 1.1 ng/ml,CA19-9 10 U/ml と異常を認めなかった。9月13日,手術を希望し入院。再度,超音波ドップラーで胆嚢ポリープ内の血流を確認し,続いてレボビスト造影ドップラーを行ったところ血流像の増強が認められた。また造影CTでもポリープはエンハンスされた。超音波所見より早期癌も念頭に置きつつ過形成性ポリープないし類似病変と診断し,9月21日,腹腔鏡的胆摘術を行った。摘出標本では胆嚢頚部に15×6×6mm 大と12×4×4mm 大の2個の有茎性ポリープ,周辺に2~3mm 大のポリープ状コレステロージスを認めた。組織学的にはポリープの殆どは泡沫細胞で占められ,固有上皮成分は少ないためコレステロールポリープと考えられた。また胆嚢壁より茎部,さらにポリープのほぼ全長にわたって血管が走行しており,超音波ドップラー画像所見と一致した。これまで胆嚢コレステロールポリープは血流に乏しく,腺腫や癌などの腫瘍性病変には血流が描写されやすいと考えられてきた。本例は胆嚢ポリープの良悪性を血流から判断する上で,一石を投ずる興味ある症例と考えられたので報告する。
索引用語 胆嚢ポリープ, 超音波